writer : techinsight

「電話で名乗らない」「お辞儀すらできない」…ゆとり世代の質低下をどうするか

昨今は就職氷河期と言われるが、その原因は学生の側にもあるようだ。企業の人事担当者に聞くと、誰もが口をそろえて「学生の質が下がっている」と嘆く。原因は、やはり「ゆとり世代」の非常識さにあるようだが、日本の未来はどうなっていくのか。

かつて企業の人事担当を務め、学生の就職活動に詳しい株式会社ガクーの柳田氏は、いわゆる「ゆとり世代」の学生について、「考えない、書けない、話せない」の三重苦に陥っていると指摘する。

柳田氏によれば、インターネットが普及し、何でも手軽にネット検索ができるようになったことで、学生の考える力が低下してしまったという。また、「ゆとり世代」はメール世代でもあり、自分で書いたり、話したりする力も不足しているようだ。さらには、目上の人と話す機会が減っていることも原因として挙げられるという。

最も多い事例としては、電話をかけてきて自分の名前を名乗らず、突然用件を伝えてくる学生が非常に多いという。これは、携帯電話で相手にかける感覚が定着していることが原因ではないかと柳田氏は分析する。また、企業と学生の間におけるメールにおいても、携帯電話から送信してくる学生が多く、氏名が記載されていないことも多いという。何千、何万人という学生を相手にする企業の人事担当者にとって、誰だか分からないアドレスのメールはもはや迷惑メール同然だ。

メールに関しては、漢字の間違いも多いという。一例を挙げると、「お面白い」「初体面」「真険」…など、麻生前首相もビックリな赤っ恥語録が並ぶ。これも、ケータイ世代の特徴だろうか。

こうした現状を憂う柳田氏らは、5年ほど前に学生の就職活動を支援する専門塾「楽!楽!内定塾」を立ち上げた。「ゆとり世代」のこうした諸問題は単なる付け焼刃では太刀打ちできないとして、内定獲得ノウハウだけでなくしっかりとした教育を行い、一流のビジネスマンとして社会に出た時に通用する人材を育てたいというのが「楽!楽!内定塾」のポリシーだ。

採用試験を乗り切るだけのセミナーやマニュアル本は世に溢れていたかもしれないが、こうした専門塾は「楽!楽!内定塾」が国内随一と言って良いだろう。

前述の柳田氏によると、企業の人事・採用担当者のほとんどが学生の質の低下を感じているという。例えば面接の際、ドアを閉めて一礼することさえできない学生が多いという。挨拶は全ての基本だが、首を傾ける程度で深くお辞儀の出来ない学生や、指をまっすぐ伸ばして揃えられない学生…さらに、半分以上の学生はきちんと静止せずに礼をし、退出するという。もはや非常識が主流になりつつある様相だ。

「楽!楽!内定塾」では、社会人としてのマナーを教えるのは大前提として、単なるマニュアルにとどまらない教育を行い、将来の日本を背負っていく人材として「できるビジネスパーソン」を輩出している。授業後には担当講師が学生へマーケティングや心理学、脳科学などを話すこともあるという。また、大手企業で現在働いている卒業生を招き、OBOG訪問会を開催しているという。これは、「楽!楽!内定塾」が単なる就職予備校とは一線を画し、学生に対して社会人としての真の実力をつけ、人間的に成長してほしいという理念を持っていることの表れと言えるだろう。今の「ゆとり世代」に欠けている、目上の人と語らう機会を増やしていきたいということでもあるのだろう。

「相手にどうやったら伝わるのか分かってほしい」…本気で学生と向き合う柳田氏の言葉には説得力があった。「楽!楽!内定塾」では2011年卒・現在就職活動中の学生を受け入れており、来月に東京大阪、京都、神戸、名古屋福岡札幌仙台でセミナーを開催するほか、緊急対策コース、エントリーシートの通信添削なども受け付けている。
http://naitei-jyuku.jp/
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)