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フジファブリック志村正彦さん 民生も認めた実力派 全力で走った29年

若手ロックバンドの中でも有数の実力派・フジファブリックのボーカル&ギターを務める志村正彦が、24日に急逝した。29歳の若さでの、突然の旅立ち。それはあまりにも早すぎるもので、日本のロックシーンにとっては重大な損失と言えよう。

志村正彦は1980年7月10日、山梨県富士吉田市生まれ。中学3年生の時に地元・山梨で奥田民生のライブを見て衝撃を受け、音楽の道を志す。その後、2000年に友人らとともに「フジファブリック」を結成。ボーカルとギターを務め、ほとんどの楽曲の作詞作曲を手がけた。

その後、2003年には現メンバーであるキーボードの金澤ダイスケとベースの加藤慎一が加入。翌年にはギターの山内総一郎らも加入し、アルバム『アラモルト』でメジャーデビューする。

以後、2009年までにシングルを11枚、アルバムを4枚発売。「銀河」「虹」など、楽曲の個性の強さと幅の広さには定評があり、ユニコーンの再来とも言われた。2007年発売、7枚目のシングル「蒼い鳥」ではオリコンランキングのトップ10入りを果たした。また、同じく2007年発売の「Surfer King」では東京スカパラダイスオーケストラと共演している。また、東京事変の亀田誠治との親交も深く、J SPORTSのWBC中継テーマソングとして使われた11枚目のシングル「Sugar!!」などで亀田が編曲を担当している。

そんな志村の音楽のルーツはやはり、事務所の先輩であり「影響を受けた」と公言する奥田民生だ。志村の才能は奥田自身も認めるところであり、2005年に行われた奥田の「ひとり股旅in広島市民球場」では、若手実力派バンドの曲としてASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君という花」とフジファブリックの「桜の季節」が歌われた。

2009年11月には音楽雑誌「bridge」で奥田と志村の対談が実現。対談の中で志村は「『奥田民生志村正彦』として2人でグループを結成し、ギラギラした音をやりたい、ギターを歪ませたい」と話していた。

しかし、それも今となっては叶わない夢となってしまった。志村は今月24日に29歳の若さで急逝。フジファブリックの公式サイトによると、検査の結果は病名不詳だという。

志村の公式ブログは今月10日まで1日1記事ペースで更新されている。最後の投稿となった10日の記事では、「1ツアーやるとなると、1ツアーに1回は必ず風邪をひいていた過去のフジファブリックですが、最近全然ひきません。体調もかなり良好です。どこも痛くも痒くもない」と元気であることをアピールする内容となっており、今回の訃報が嘘のようだ。

また、11月12日の記事では新宿ロフトで行われたライブについて触れ、「インディーズの頃の曲はあまりやりませんでした。もう先を見てるんで」「相変わらず、地味に作曲マシーンです。なんと一日一曲。このままだと、一年で365曲」と記しており、来年に向けて壮大な飛躍の構想を練っていたことが読み取れる。志村の訃報を受けて、フジファブリックの残ったメンバー3名は今後も音楽活動を続けるとコメント。果たしてこれらの楽曲が今後披露されることはあるのだろうか。

志村正彦、享年29歳。その早すぎる死を悼む声が各方面より寄せられている。以下に一部を抜粋して紹介したい。(いずれも本人公式ブログより)

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
「地球上の全てのものごとは絶えず変化し続けている。 留まることを許されていない。 生命は、生まれたときから死ぬことが決まっている。皆、平等に死からは逃れられない。 それでも誰かの死を前にして、悲しかったり寂しかったりするのはなぜでしょう。 なんだか言いようのない気持ちになったりするのはなぜでしょう。 私にはわかりません。 わからないけれど、理由なんてわからなくてもいい気がします。 それを丸ごとポケットにしまいこんで、私は進もう。 」

和田唱(TRICERATOPS)
「どうしてこんなに早く行っちゃったんだい、シムシム?いくらなんでも早過ぎるだろ?昨日知ったとき・・・本当にショックだったよ」「君の作り出す楽曲は強烈なオリジナリティを持ってた。と同時にグッとくるやつがいっぱいあってさ。素晴らしいよ。ホントに希少な才能です。もっと作ってくれよ、まったく!シムシムは永遠に若いままか。そうか・・・じゃあ俺は老け込んで顔がジイさんになるまで頑張ってみるよ!見守っててね。そしていつかまた会おう!!」

吉田佳史(TRICERATOPS)
「本当に素晴らしい才能を持っているのに…なんでだよ…今はただご冥福をお祈りする事しか出来ない…」

大谷ノブ彦(芸人・ダイノジ)
「志村君が死んでも、素晴らしい楽曲は残る。 DJでかける人も沢山いるだろう。 彼の新しい作品を聴くことができない。僕らはまた圧倒的な才能を失った。」

平田裕香(タレント)
「昨日、深夜、家に帰ってきて知りました。嘘かと、思いました。29歳の若さでした。私はその日の24日、なにも知らずにいつものようにiPodでフジファブリックのアルバム“アラモルト”や“フジファブリック”を聞いていました。独特なメランコリックな空気漂う音楽で、移動中に聞くのが大好きでした。」

志村の最後のシングルとなった「Sugar!!」は、サビの部分が以下のような歌詞になっている。

全力で走れ 全力で走れ 滑走路用意出来てるぜ
上空で光れ 上空で光れ 遠くまで

まさに、志村自身の29年間を象徴するかのような内容である。全力で日本のロックシーンを支え、数々の名曲を世に送り出してきた志村正彦に、心から哀悼の意を表したい。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)