writer : techinsight

【名盤クロニクル】ベイ・シティ・ローラーズ「青春に捧げるメロディ」

(画像提供:Amazon.co.jp)
(ジャンル:ロック)
1970年代後半のロックシーンはパンク・ムーブメントの嵐が吹き荒れていたことになっているが、イギリスと日本の事情は異なり、日本では最初期ディスコブームが起き、古典的ハードロックやポップスも健在で、その中でアイドルグループも人気絶頂だった。ベイ・シティ・ローラーズ(BCR)である。

BCRと聞いて、「あんなのはオンナコドモの聴くくだらない音楽だ」と当時を回想する人が多いかもしれないが、それならば60年代デビュー当時のビートルズも同じである。ビートルズは後期になって時代との緊張感の中で多彩な音楽を作っていったが、BCRは残念ながらそこまでいかなかったという違いはある。

しかし、BCRを今虚心に聴くと、実に良質なポップロックなのである。親しみやすいメロディとロック感覚の絶妙な取り合わせは、他には見られないものであった。完成度の低いオリジナル曲よりも、60年代後半のR&Bの名曲のカバーを多く演奏していたのも奏功していたようだ。

ビートルズにしてもBCRにしても神格化されるか忘れられるかはファン次第なのである。音楽が素晴らしいだけでは神格化されない。ファンが次の世代に伝説を伝えていけるかどうかが重要だ。

そうした意味で、BCRはビートルズに比べて不幸であったが、当時の女子中高生ファンにとっては、彼らは永遠に青春のシンボルなのである。

BCRのアルバム数はそれほど多くないが、代表的なアルバムとして1枚挙げるならこの「Dedication」(邦題「青春に捧げるメロディ」)である。

捨て曲なしの非常に素晴らしい佳曲がつまったアルバムである。ヒットシングル「二人だけのデート」(I only wanna be with you)を始めて、分かりやすくキャッチーなメロディとビートは、魅力満載である。

ちなみに、ビートルズとBCRと日本のチェッカーズ。この3つのバンドには共通点がある。それは「田舎者」であるということと、プロデューサーがキレ者であったということだ。

ミュージシャンとその音楽は、多くの人が共同で作り上げるものなのである。さらに地方都市には大都会にはないセンスが宿っており、それをどう生かすかということで成功したのが、この3つのバンドであったということである。

(収録曲)
1. レッツ・プリテンド
2. すてきな君
3. ロックン・ローラー
4. 二人だけのデート
5. イエスタデイズ・ヒーロー
6. マイ・リサ
7. ドント・ウォリー・ベイビー
8. カッコー鳥
9. 愛をこめたレター
10. 青春に捧げるメロディー
11. ロックン・ロール・ラヴ・レター
12. マネー・ハニー
13. ラヴ・ミー・ライク・アイ・ラヴ・ユー
14. 青春に捧げるメロディー
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)