マイクロソフトは、米国時間2009年11月17日(火)より19日まで米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されている同社主催の開発者向け年次会議、Professional Developers Conference(PDC09)において、Windows Azureの提供開始を発表した。

同社のクラウド戦略の中核となる基幹技術として、予告されていたもので、クラウド時代に新たな1ページが刻まれるが、一方でSaaSへの対抗戦略としてSoftware and Serviceという概念を提唱しており、どのような実装として展開されるかはこれからの動向を注視する必要がある。

基調講演において、「スリースクリーン&クラウド(Three Screens and a Cloud)」ビジョン、すなわちPC、携帯電話、そしてテレビといったスクリーンの違いを意識せずに利用可能であり、かつすべてがクラウドベースのサービスを介して接続されているようなソフトウェア エクスペリエンスの実現に向けたマイクロソフトの構想を明らかにした。

IT業界が、オンライン型のサービスとオンプレミス(自社設置)型のソフトウェアを組み合わせたハイブリッドなアプローチへとその重点を移行しつつあるとの見方を示すなかで、マイクロソフトの新しい開発ツールやテクノロジこそが、企業、消費者双方のための強力な次世代型アプリケーションの開発に必要なプログラミングモデルを提供できることを強調した。

マイクロソフトが提供するパートナー企業向けのオンライン マーケットプレースであるMicrosoft Pinpointの将来展望についても明らかにし、その中で、マイクロソフトが提供する新たな情報仲介サービス「Dallas(コード名)」の紹介が行われた。

Windows Azureプラットフォームを全面的に利用して構築されるこのサービスは、レベルの高い商用データ、参考資料、コンテンツなどをあらゆるプラットフォームを利用する開発者やユーザーに提供するものである。

アプリケーションの動作基盤としてのクラウドにおいてエンドユーザーが利用のみを行うSaaSやPaaSへの全面的な移行は自社技術の空洞化をもたらすとともに、インフラであるネットワークが障害を受けたときに、身動きが取れなくなるおそれがある。

この問題点を柔軟に解決しようとするのが、マイクロソフトのSoftware and Serviceであり、その実行基盤がWindows Azureである。

同社は、2009年11月17日（現地時間）より、クラウド環境下におけるアプリケーション開発環境Windows Server AppFabric Beta 1の提供を開始する。
開発者は、一連の統合化されたハイレベルのオンプレミス アプリケーション サービスであるWindows Server AppFabricを利用することで、サーバーとクラウドの双方で運用されるアプリケーションの展開と管理を一段と容易にすることができる。
（TechinsightJapan編集部　真田裕一）