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「日本語習得不十分」「企業の採用意欲は減少」。留学生30万人計画の実態明らかに

「留学生30万人計画」をご存じだろうか。文部科学省や外務省などが平成20年に骨子をまとめたもので、日本のグローバル化の一環として2020年までに留学生受入れ30万人を目指すものだ。そのために教育や雇用の分野で積極的な留学生の受け入れが進められているが、その実態に関する調査が行われた。

株式会社さんぽうは、大学および短大の留学生に関する状況について調査を行った。「留学生30万人計画」を大学・短大がどのように受け止めているかといったことや、留学生を取り巻く現状を明らかにすることがねらいだ。

調査は本年7月9日から31日にかけてFAXによって行われ、141名の回答を得た。

それによるとまず、「政府の30万人計画」については「あまり変わらない」との回答が最も多く、「上手くいっている」との回答があったのは留学生を受け入れている大学の7.3%のみであった。「中長期的にながめる必要がある」、「今後の計画の推進に期待している」、「省庁の連携が必要だ」といった意見も多く寄せられていることから、多くの大学、短大がいまだ実感していないものの、期待はしているという状況が伺える。

また、既に入学している留学生の問題点について聞いたところ、「日本語の習得度の低い学生が多い」という回答が大学で26.4%、短大で33.3%とそれぞれ最多となった。

留学生と大学・短大とのミスマッチの原因としても、留学生を受け入れている大学の52.7%、短大の46.7%が留学生の「日本語の習得が十分でない」ことを挙げた。

そして、留学生の日本企業への就職希望者が増えている実態も明らかになった。大学の41.8%、短大の60%で、留学生が日本国内の企業への就職を希望していることがわかった。一方。これらの大学の37.3%、短大の46.7%が企業側の採用意欲はやや減っていると回答しており、就職に関しては国内の学生と同様、留学生に対しても厳しい現状だ。

留学生の語学力と、卒業後の進路についてのサポートは、産官学の連携が重要と言えそうだ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)