writer : techinsight

顕微鏡で見ると、昆虫がアートになる? 次世代のデジタル昆虫図鑑の展示、科学技術館で開催

顕微鏡で昆虫を観察してみると、肉眼では分からなかった意外な発見がある。そこには、自然界が創造した美と不思議の世界が広がっているのだ。

そんな「自然美」の世界に注目する学者がいる。慶應義塾大学環境情報学部の小檜山賢二教授だ。この夏、科学技術館とコラボして、昆虫の体の表面に見出される「ミクロの自然美」を追究した展示が公開される。

小檜山賢二教授が所長を務めるSTU研究所と慶應義塾大学「Micro Archiving Project」は、次世代のデジタル昆虫図鑑を参加体験型システムとして展示する、小檜山賢二 × Micro Archiving Project 個展「Micro Presence – 昆虫 ミクロ・リアリズム」を、東京・千代田区の科学技術館にて展示、公開する。

これは、最新のデジタル技術を用いて、昆虫のミクロの世界を再現、拡張するもの。今回展示するシステムは、「拡大昆虫図鑑」「うごく立体3D昆虫図鑑」「中身が見える立体3D昆虫標本」の3つだ。

「拡大昆虫図鑑」は、昆虫写真を実サイズから自由に拡大して閲覧できるもの。特殊な技術によって作成されており、すべての領域にピントの合った高解像度の昆虫写真となっている。また、「うごく立体3D昆虫図鑑」は、360度あらゆる方向から閲覧できるとともに、「歩く」「飛ぶ」といった動作を立体視で閲覧することができるのが特長となっている。

そして、「中身が見える立体3D昆虫標本」では、360度あらゆる方向から閲覧できるのはもちろん、なんと、昆虫の体を自由に切断してその構造を立体視で閲覧できるのだという。昆虫の体のメカニズムに興味を持つものの、ばらばらに解体してしまうことに抵抗があった…という人は、この3D標本を使うことで、実際の昆虫をバラバラにせずに、その仕組みを知ることができるというわけだ。

これらのシステムは、「昆虫の不思議」を実感させてくれるだけでなく、工業・医療の分野への応用も可能で、「昆虫ミメティックス」と呼ばれる研究などにも貢献するという。

この小檜山賢二 × Micro Archiving Project 個展「Micro Presence – 昆虫 ミクロ・リアリズム」は、今月10日より30日まで東京。千代田区北の丸公園の科学技術館4階にて展示されており、科学技術館への入館料金(大人600円、中高生400円、小学生以下の子ども250円)のみで閲覧することができる。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)