米国発!Breaking News

writer : testjournalist

【米国発!Breaking News】ブラジルの地下鉄に「肥満者優先席」

ブラジル、サンパウロ市地下鉄の先頭および最後尾の車両に「肥満者優先席」が設置されはじめた。プラットホームにも肥満者優先の青いベンチが出現している。この青いベンチは通常サイズの2倍ほどの幅があり、300キログラムの負荷にも耐えるという。

サンパウロ州では公共交通機関や映画館などに「肥満者優先席」を設置することが条例で義務づけられている。条例ができたのは2006年だが、準備期間を経て、本年2月からまず、地下鉄への「肥満者優先席」の設置が始まった。7月中には、すべての列車と駅プラットフォームへの設置を終える予定だという。

たしかに「肥満」も個性であると捉えるなら、ユニバーサルデザインの観点からも、肥満者が出歩きやすい環境を整備することは望ましいと考えられる。

しかし難しいのは、何をもって「肥満」であると認定するのかということ。たとえば日本肥満学会では、体重と身長を基に算出するBMI(ボディマス指数)が
・25以上30未満なら肥満(1度)
・30以上35未満なら肥満(2度)
・35以上40未満なら肥満(3度)
・40以上なら肥満(4度)
と定めている。
また、WHOではBMIが25以上を「標準以上(overweight)」、30以上を「肥満(obese)」としている。

さて、サンパウロ州の「肥満者優先席」はというと、BMI(ボディマス指数)が40以上の人のための優先席であるとの但し書きがある模様。上記の基準では最高位(?)の4度の肥満であるから、かなりの肥満であることは疑いない。

だがBMIが40以上か否かを、見た目で判断できるだろうか? 甚だ心許ない……見栄をはって肥満優先席を利用しなかったり(空いているならそこに座ってくれたほうがほかにスペースが生まれる)、良かれと思って肥満優先席を勧めてみたら逆に立腹されたり、といった以前には見られなかった都市風景が、サンパウロの街を彩ることになるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 田中箇)