フィジカルコンピューティングをご存じだろうか。ニューヨーク大学のITPでインタラクションデザインを教えるための方法の一つとして考案されたもので、コンピューターが理解したり反応したりできる人間のフィジカルな表現の幅をいかに増やすかということを目的とし、デザインやアート教育の一分野として定着している。
こうしたセンサーやモーターなど、身体的な動作情報を扱える「フィジカルコンピューティング」について、世界初の連携機能を実装したウェブサービスが登場した。
株式会社カヤックは、自社が運営するウェブサービス「wonderfl build flash online」において、岐阜県立国際情報科学技術アカデミー(=IAMAS)との産学連携により、世界初となる「フィジカルコンピューティング連携機能」を実装したと発表した。
「wonderfl build flash online」は、ブラウザ上でFlashをつくり共有できるウェブサービスで、昨年12月にサービスを開始して以来、国内の9000名以上のFlashクリエイターに利用されている。
今回、IAMASの小林茂准教授が主催するプロジェクトとのコラボレーションにより、世界初となる「フィジカルコンピューティング連携機能」の実装が実現した。フィジカルコンピューティングによって、標準的なパソコンの付属品のようなキーボードやマウスという標準的な入出力デバイスではなく、センサーやモーターなど身体的な動作に近い、物理的な情報を扱える入出力デバイスでコンピューターをコントロールし、よりインタラクティブな表現を行うことが可能となる。
今回の共同開発では、株式会社カヤックが「wonderfl build flash online」のウェブサービスにおけるソフトウェアおよびシステム開発を担当し、IAMASがフィジカルコンピューティング対応に関するソフトウェア開発および入門者のためのコンテンツの開発を担当している。
既に「Gainer I/Oモジュール」や「Arduinoボード」など対応ハードウェアを持っているユーザーは、従来からの「wonderfl」の機能であるソフトウェアの公開に加えて、ハードウェアの回路図、回路の組立や体験の様子の動画を投稿することができる。
また、対応ハードウェアを持っていないユーザーは、フィジカルコンピューティングを始めるのに必要な全ての情報、つまりソフトウェアのソースコードとハードウェアの回路図を同一画面で閲覧することができる。
「wonderfl build flash online」は、「ブラウザで簡単にFlashをつくることができて、共有ができる」として、Flash利用者の拡大を目指してサービスが運営されてきた。株式会社カヤックは「今回の実装機能を利用することにより、電子工作の経験のない人でもウェブ上で簡単にフィジカルコンピューティングを体験できるようになる。フィジカルコンピューティングをはじめるにあたってのハード的な敷居を下げ、より豊かな表現に触れる機会を提供したい」とコメントしている。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)