writer : techinsight

睡眠の質の向上は、生活の質の向上に。 意外と知られていない「睡眠」の役割と効果。

現代人はとかく忙しい。通勤、そしてオフィスではパソコンと長時間向き合い、家庭では家事や育児に追われる。一日が終わって眠りにつくことさえ、安らぎを得るのではなく、睡眠不足の解消が目的になっていることも多い。
日本人の5人に1人は不眠と言われている。首都圏の成人で、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「ぐっすり眠った気がしない」「朝、目が覚めるのが早すぎる」など、睡眠に問題・不満を感じている人は80%にのぼるという報告もある。また、朝起きたときに体の節々が痛い、肩こりや腰痛が残っているという悩みも多い。
そうした人々に共通しているのは、「質の高い睡眠」を取っていないということである。

メタボリック症候群のショック以来、「食事(栄養)」や「運動」への関心は高まっているが、同じように健康な生活に欠かすことのできない「睡眠」について、もうすこし気を配ってみてもよいのではないだろうか?

そこで編集部では、「質の高い眠り」をテーマに、smart sleepというコンセプトショップをオープンしたパラマウントベッド社に取材を試みた。



パラマウントベッド社の研究によれば、現在、多くの人が適切な寝具を使っていない可能性が高いという。メディカルベッド・マットレスの製造販売の実績を持つ同社から返ってきた答えは「高価な寝具が必ずしも体に良いわけではない」という意外なものだった。
パラマウントベッド社が展開する寝具ブランドsmart sleepによれば、質の高い眠りを得るための寝具で最も大事なのは、「寝返り」と「寝心地」にあるという。

一般に、布団に入ったときには上品な寝姿勢が良いと考えられ、楽な姿勢で寝ている姿は寝穢(いぎたな)いとして嫌われる傾向がある。特に女性は寝姿を人に見せられなくて、友だちや恋人との旅行が怖いという人も多い。
しかし、寝返りこそは、睡眠中の血液やリンパなどの体液の循環を良くし、体温調整を行うという生理現象のひとつなのである。したがって寝返りや寝姿勢は人それぞれであり、自然のままに寝るのが最も好ましい。

smart sleepは寝具の役割を、生理現象である寝返りと寝姿勢を快適にサポートすることにあると提唱する。

smart sleepの提供するマットレスは、センサーによる計測と専用ソフトでの解析の結果を元に個人個人の体型や姿勢に合わせたオーダーメードマットレスである。具体的に頭からかかとにかけて7分割されたクッション材の硬さをそれぞれ個人に合わせて調整したマットレスを提供する。そして、睡眠中に身体が動きやすいように工夫されたウレタンフォームとスプリングのハイブリットマットレス(レディメイド)の2本立てだ。

高級なマットレスほど柔らかいものが多いが、柔らかすぎても硬すぎても寝返りには不向きだ。硬すぎず柔らかすぎない適度な硬さこそが、快適な眠りをサポートする。

そして、枕も重要だ。売場で枕を試したときはちょうど良い高さに感じたのに、いざ自分のマットレスで使うと高く感じたり低く感じたりしたことはないだろうか?同じ高さの枕でもやわらかいマットレスの上で使えば相対的に高くなるし、硬いマットレスの上で使えば低くなる。smart sleepでは、マットレス、ベッドパッド、枕を組み合わせることで、その特性を最大限に発揮させるトータルフィッティングを提案している。

いままで疑問に感じなかったが、マットレスとの調和が吟味された枕があったであろうか?
快適に身体を休めるために、首から上と下が別々に考えられていたとは、何やらおかしい。

smart sleepでは、寝具のほかに、心地よい眠りに誘うためのグッズも用意している。アロマオイルや環境音楽CDなど寝具の選択と併せて睡眠環境づくりが楽しめるのも魅力だ。

また、今後はインザルーム新宿本店「インザスクール」において、日本睡眠改善協議会認定の「睡眠改善インストラクター」による睡眠講座(予約制)を開催して、ユーザーのさまざまな状況に合わせて、眠りに関するアドバイスを提供するとのことだ。詳しくは、インザルーム新宿本店のホームページをチェックして欲しい。

<取材を終えて>
本稿執筆時点で、「睡眠障害」という言葉に出会う機会が増えたように感じる。
不況やストレスなどで「眠れない」という人が増えているのかもしれない。筆者が目にした多くの記事が、苦痛を感じていたり、仕事や社会生活に支障をきたしたりするなどの症状がある場合は、医師に相談すべきであると記している。筆者もそうすべきだと思う。それと同時に、風邪をひいたときのことを考えた。
多くの人が、発熱や咳などの症状があれば、医師の診察を受けて処方された薬を飲んでいる。同時に日常的には、手洗いやうがいなどを行い、できているかどうかは別として食事(栄養)のことを考え、予防を講じていると思う。
睡眠に関して、もうすこし意識的になってみることは、この手洗いやうがいの実施、そして必要な栄養をとることにつながるように感じた。睡眠とは、心身機能を回復させ良好に維持するために、誰にでも必要な営みである。これは、トータルな「セルフクリニック機能」とも言えないだろうか(ちょっと大袈裟すぎるだろうか・・・)。
個人的な経験で恐縮だが(また、実際に深刻な障害に悩まれている方には申し訳なくも思うが)、生活習慣に関しては、あまりシリアスにストイックになりすぎないほうが良いように感じる。
「栄養」であれば、やはりおいしく楽しく食事をして、その目的を達成したいし、「運動」もつらいと続かない。「睡眠」も同じだ。快適に身体に良いことができれば、それに超したことはない。筆者は、取材と執筆を終えて、実際の生活を顧みながら、smart sleepの睡眠改善インストラクターに相談して、自分の生活習慣を見直すきっかけにしたいと実感した。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)