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【映画行こうよ!】実はエロくない「世捨て人」。叶恭子は何を伝えたか?映画『IL VENTO E LE ROSE~愛するということ~』

2009年5月18日 10:00

叶姉妹、姉・叶恭子主演の映画『IL VENTO E LE ROSE~愛するということ~』を見た。女性の美と幸福をプロデュースするという職業「トータルビューティー(ライフ)アドバイザー」を自称する叶姉妹が仕掛ける、女性による女性の為の“愛と性の喜び”の映画。それはまさに人生のプラクティスで、『~愛するということ~』の意味は、愛する心も肉体も誰の所有にも属さず、鳥のように自由。ということをさす。まさに叶恭子の生き方そのもののような映画ではあるのだが・・・・・。




その日本人離れした容姿や謎めいた経歴、贅沢な生活を支える収入源など、まさにミステリアスな存在が人気を集める叶姉妹。このユニット(最近ではしばしばそう呼ばれる。)の最大のお客さんはやはり、贅沢な生活を夢見る女性達であろう。いかに、“慎ましやかで平凡な人生”が幸せであるかを知っている女性でも、必ず一度は叶姉妹のような生き方に憧れるのではないか。

今回の映画のもう一人の主人公、花売り娘のジョルジャ(マリア・コッキャレッラ・アリスメンディ)は、ローマの北西にある田舎町で厳格な祖母の元、窮屈な生活を送っている。祖母は夫と娘を捨て、男と町を出て行ったジョルジャの母を嫌い、同じ血が流れるジョルジャを早く無骨な農場主の元へ嫁がせようと目論む。そんなある日、ジョルジャは近所の城のような豪邸に(日本から?)やってきた豪邸主の愛人・KOKO(叶恭子)の存在をみつけ、彼女の美しさや、ミステリアスな魅力に吸い寄せられるように魅かれて行く。

寝ても起きても形状の変わらない“すり鉢状”の巨大な乳房や、突き出たヒップなど、デビ夫人に“サイボーグ”と言われてしまった叶恭子の体はたしかに異様だ。KOKOの愛欲しさに、様々な“趣向を凝らした性愛”を仕掛ける富豪や、贅沢で豪華すぎる生活も「眉唾もの」である。しかし、荘厳で神秘的なローマの古城や湖など、自然の風景がとても美しいのと、若いもう一人の主人公ジョルジャ(彼女も腰の位置が高く腹筋が割れている。)の心理描写が幻想的な映像で表されているので、それらのフェイクがあまり気にならない。

KOKOの身に付けている衣装はフランス娼婦のようにドピンクだったり、江戸女郎の肌着のように真っ赤であったり、とにかく派手で下品な色をしているが、それらの演出も全てエロティックに作用し、「エマニュエル夫人」や「エーゲ海へ捧ぐ」などのある種の古典的でロマンティックな名作に近い雰囲気を出している。しかし、思ったよりも性愛シーンにおいて肌の露出は少なく、あまりいやらしさを感じない。記者はそれこそ“核弾頭”のような胸を配した叶恭子に人間的なエロスを感じる事が出来なかったが。

鳥のように自由な心で生きる事は、一時の喜びを与えてくれるが実は孤独。数々のしがらみを経ち、自由に飛びこむ事は簡単では無い。抑圧されている無垢な女性・ジョルジャの心の変化を通して、叶恭子が全女性に伝えたいメッセージが広がる。

この映画を見て分かった事だが、家族や結婚などの「女のしがらみ」に甘んじて生きる女性の生き方を捨てて生きる叶姉妹はある種「世捨て人」であり、たとえ虚飾にまみれていようとそのイキザマは潔い。記者は、叶姉妹に気品を感じる事ないが、彼女たちから学べる事は多いような気がした。

いまのところ、『IL VENTO E LE ROSE~愛するということ~』を上映している映画館は数館で、東京では新宿だけらしいのだが、その館内は満席。記者の見た時は、平日のマチネーの時間にもかかわらず品の良い初老の紳士や、杖をついたオシャレなおじいさんなど、男性の姿もチラホラ。ひょっとして、この人達もみんな恭子さんのいわゆる“メンズ”なんだろうか?この年代のハートに火をつける叶恭子、おそるべしである。

『IL VENTO E LE ROSE~愛するということ~』 公開中
監督 エリーザ・ボロニーニ  出演 叶恭子  マリア・コッキャレッラ・アリスメンディ 他 

(編集部:クリスタルたまき)

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