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北の大地から、湿気・脱臭・シックハウス対策に革命 珪藻頁岩ってナンダ?

2009年1月5日 13:00

この時期、空気の乾燥や窓の結露に悩む人が多い。一方、夏場ともなればジメジメとした湿気に悩まされる。一年中エアコンを稼動していたら、電気代もかかるし地球環境にも悪影響だし…といって、近代的な生活に慣れてしまったわれわれにとって、節約・エコのために我慢するというのは辛い。 …そうした悩みを一気に吹き飛ばす画期的な「壁」が登場した。その名も「珪藻頁岩」。あなたはご存知だろうか。




「珪藻頁岩(けいそうけつがん)」とは、植物プランクトンの一種である珪藻の死骸が堆積してできた粘土質の珪藻土が、地熱によって岩石化したもので、その生成にはおよそ数万年かかるという。保温・保湿の役割を果たす頁岩として世界中で採集されているが、日本では北海道・稚内の豊富町が国内唯一の生産地となっている。

この「稚内珪藻頁岩」を使って、画期的な室内用建材を開発した会社に今、注目が集まっている。何と、壁に貼るだけで湿度を常時一定に保ち、消臭や有機物質の除去までできて環境にもお財布にも優しい製品の開発に成功したのだという。その誕生秘話を社長に尋ねた。

今回取材に応じてくださったのは、釧路市に本社を置く有限会社加賀谷ブリック の加賀谷淳一代表取締役だ。早速、「稚内珪藻頁岩」による建材が誕生するまでの経緯を伺った。

一般的なタイルは、粘土などのバインダー成分を高温で焼成し、溶融固化することで強度を持った製品となる。ところが珪藻頁岩の場合、焼成すると珪藻頁岩の持つ細かい穴(=細孔)が焼損し、本来の湿度調節機能が薄れてしまうという。また、焼くことで二酸化炭素を排出するという、環境面での問題もあった。

「しかし、私どもは北海道立の工業試験場と協働で研究開発を進め、焼かずに建材を作れる方法を編み出しました。何パターンもの調合を繰り返し、3年の月日を経て完成にこぎつけました。特許出願もしています」と、加賀谷社長は話す。焼かないことで、珪藻土の3倍の調湿機能を持つとされる珪藻頁岩本来の性能を活かすことができる。しかも、CO2削減に貢献できるのだ。

エコなのはそれだけではない。「稚内珪藻頁岩」の建材は、室内の湿度を60%前後に調整するという優れた調湿性を持つので、夏場の湿気や冬場の乾燥を防ぐことができ、エアコンの稼動を減らせるという。

さらに、この建材には可視光型の光触媒もついているため、蛍光灯の灯りでも家具などから放散される有機化学物質やアンモニアなどの臭いを吸着・分解することもできる。つまり、シックハウス対策や脱臭効果にも期待できるというわけだ。

この「稚内珪藻頁岩」を使った建材は、壁のタイルやブリック、さらには小物のボールなどに形を変え、販売されている。

実際にブリックを導入した老人ホームからは、「快適な湿度が保たれていると実感した」「気になる臭いが改善された」といった反響が寄せられたという。

「NEWすこやかブリック」はこの種の建材の中ではトップクラスの調湿力と消臭力を持つ、これまでにない画期的な製品と言えよう。また、「建材」と言うとなかなかイメージがわきにくいが、例えば既にある部屋の壁にタイルを貼り付けたり、押入れにブリックを設置することもできるのだ。

現在、加賀谷ブリックホームページでネット通販を行っているほか、地元販売店や、今月からは東京・渋谷の東急ハンズでも販売されるという。タイルは20cm弱四方のものや、小さいものも含めて様々なサイズのものがあり、貼り付けも両面テープでだれでも手軽に行えるという。

ところで、この「稚内珪藻頁岩」を開発した加賀谷ブリックは、北海道の東・釧路市に位置し、創業13年従業員わずか5名の小さな会社だ。いったいどんな会社なのか。

加賀谷社長にその経営理念を尋ねたところ、「社会貢献」という言葉が返ってきた。「稚内珪藻頁岩」の技術の高さに自信を持つ一方、それをどのようにして世に広め、売っていくのかが今後の課題だという。せっかく優れた技術が開発されても、そこにスポットライトが当たらなければ、その意義はないも同然だ。この素晴らしい「稚内珪藻頁岩」を北海道から全国に、ひいては世界中に広め、売り上げを伸ばすことで地元の発展にも寄与したいと加賀谷社長は話している。

また、加賀谷ブリックでは障害者雇用を積極的に行っている。現在、従業員5名のうち2名は知的障害を抱えながらも仕事に従事しており、また、地元の障害者の授産施設「はしどい学園」と提携して職業訓練を行っている。

きっかけは、知的障害を持つ加賀谷社長の友人の息子を自社で職業訓練し、ともに働いたことだ。その後、彼は職業訓練を終了し正社員となった。加賀谷社長いわく「彼が障害を持っている、という意識はなく、楽しく働け、親子のような関係を築くことができた。それがきっかけでその子のような境遇の人の将来を考え、積極的に雇用することを決意した」ということだ。実際に、従業員たちにも自分が社会参加を果たしているという自覚と責任感が生まれ、それを彼ら自身が表現するようになったという。

建材の販売は住宅産業の市場に大きく左右されるため、現在は厳しい状況が続いているという。それでも加賀谷社長は「地場経済の流れに左右されない、全国レベルで売れる状況を作りたい。私利私欲のために商売をやるのではなく、この会社、そして技術が社会的財産となって、次世代に繋がって行けば」と熱い思いを語る。
地道な営業によって、新年1月17日から東急ハンズ渋谷店での取り扱いが始まることとなった。
今後は、ペットのトイレや、魚を焼くグリルなどのにおいとりなど、続々と商品化を進めていくという。北の大地から、生キャラメルに続くヒット商品誕生となるか。今後も注目していきたい。
(編集部 鈴木亮介)
【参照】
加賀谷ブリック

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