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メンズブラというものをご存知だろうか。楽天市場のメンズインナー・その他部門で堂々の二週連続一位だという。ウィッシュルームというオンラインランジェリーショップが販売している「メンズプレミアムブラ」なるものがそれである。あるお客が投げかけた「どうしてメンズブラはないの?」という疑問が、この商品を生み出すきっかけになったのだという。簡単に言ってみるところの「男性用ブラジャー」。ちょっと想像するのが怖い気もするが、実際いったいどんな人々が購入しているのだろう。

環境ホルモンが原因で生物がメス化していることと関係があるのだろうか。いや多分ないだろう。では、忘年会の宴会芸用に買ったり、嫌がらせを兼ねたプレゼント用に買っているのだろうか。いや、それにしては売れすぎだ。やはりちゃんと着用しているユーザーがいるのだろう。普通に考えれば、同性愛者の方々や筋金入りの変態の方々が買っているようにも思える。ならばなぜ女性モノではだめなのか。その方がずっと種類も豊富な上、デザインもバラエティに富んでいる。ピーチジョンで買えばいいではないか。オンラインで買えるのだから女性モノを買うからといって恥じらう必要もない。つまりそういった方々はこのメンズブラに飛びつく理由が何一つないのだ。
となると、やはりストレートの男が買っているのではないか。あくまでも推測の域を出ないが、こういうことではないだろうか。
「一度はブラをつけてみたい。せっかく親から授かった乳首があるのだから。」
と思いながらも手を出せないでいる男たちの密かな願いなのか。好奇心に駆られてはみても彼女や奥さんの下着をつけたらそれこそ変態だし、女性用下着を身につけていることが明るみに出れば人格を疑われかねない。年頃の娘は家出し、妻には着の身着のまま家を追い出され、職場では完全に出世争いから脱落してしまうだろう。オンラインでとはいえ、女性用の下着を買ってしまったその日から後戻りのできない世界へ踏み込んでしまうようでなかなか購入ボタンをクリックできない優柔不断な男たち。そこへこの“男性用”と銘打ったブラが満を持して登場したというわけだ。何しろ、販売者が男性用だと明言しているのだ。誰はばかることなく購入でき、家人にも面目が立ち、世間体も保てる。
仮に職場でワイシャツの下にブラが透けて見え、着用が露見したとしても、
「部長、そ、それは・・・」
「バカだな、君は。メンズブラに決まってるだろ。」
「メンズブラ!?」
「知らんのか?ほら、このウェブサイト見てみろ」
「す、すみません。私、てっきり・・・」
「変態だとでも思ったか?はははは、早合点にも程があるよ。」
「そうですよね。あははは。私、本当にそそっかしくて」
と事なきを得ることができるのだ。
“つけると優しくなれる”などという宣伝文句を見ると、成人雑誌の裏表紙に載っている「幸運を呼ぶネックレス」にも似たうさんくささを感じるが、つけると安心するというのは本当かもしれない。というのも、筆者の父親は寝ているときに仰向けで両胸にてのひらをあてがって寝るくせがある。無意識にやってしまうらしいのだが、寝ている間の姿勢には体の欲求がダイレクトに現れるものだ。おそらくその姿勢の方がリラックスして眠れるのだろう。かくいう筆者も父親の寝姿を馬鹿にしていたが、年をとるにつれて同じ姿勢で寝ているのに気づくことが増えてきたのだ。隠している方が落ち着く。それは体験的に理解できる。
隠さないのは少し心もとないが、着けてみたいとおおっぴらに口にするのははばかられる。そのように感じていた男性は結構多いのかもしれない。この商品が従来からの特殊な嗜好の持ち主以外にもそういった潜在的ニーズを発掘したとしたらその功績は大きい。
機会さえあれば是非つけてみたいものだ。たとえその夜、寒空の下で眠ることになるとしても。
(編集部:こてつ)
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