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今回の【どっちが勝ち組でショー!】は、みんな大好き椎名林檎VS宇多田ヒカル。共にセンセーショナルなデビュー後、数ある女性アーティスとを蹴落とし、一躍日本を代表する2大巨頭として音楽界に君臨する二人。早熟な歌詞、結婚、離婚、出産など私生活での経験が、微妙に曲に変化を与えている。二人の作品と活動について考える。
『「ありがとう」という言葉が他人行儀に感じる宇多田ヒカル。』
両親や、恋人、友達など、本来なら一緒にいてあたりまえの近親者に、「一緒にいてくれてありがとう」と、礼は言わない。宇多田は常に「ありがとう」を意識してきた。「ありがとう」はやさしいが、言われると突き放されたような悲しさがある。ドラマで大ヒットした曲の冒頭は、そんな宇多田の気持ちをストレートに表している。
二十歳そこそこの宇多田が、人間関係に疲れてたどり着いた境地は、“人々の願いが同時に叶わない”という絶望であった。
思い通りにならない結婚生活や、自分が、予定していなかった妊娠により生まれた事を悲観視する、自暴自棄で自虐的とも言える発言が目立つ宇多田だが、それは、至って本人のせいではなく、仕事のパートナーとしてしか彼女に接しなかった元夫や、けんかばかりをくり返す愚かな両親の影響も大きい。宇多田のような境遇のアダルトチルドレンは、現代日本を象徴し、多くの同じ立場の人々が、彼女の歌に吸い寄せられるのだ。
『公私ともに順調で、パッケージ化が進む椎名林檎。』
今年、デビュー10周年を迎えた椎名林檎。デビュー以来、知的層を刺激し、カラオケを通じて若者に浸透するといった、まんべんない戦略が大当たりし続ける。水商売風の女性をイメージした歌詞が多いからか、福岡育ちなのに新宿系と呼ばれた。一見、難解そうに見える歌詞は実はとてもわかりやすく、大正ロマン風、70年代風など、ドラマチックな映画や芝居を見ているようだ。仲のよい兄と音楽活動をしたり、結婚にこだわらずに子育てを両立したりと、宇多田よりも、公私ともに生き方が上手である。しかし、名前やイメージが一人歩きし、作りたい音楽よりも、過激さを求められる事にとまどいを覚える事もあるようだ。
思春期に拒食症ぎみだった、ともさかりえをサポートしたり、既に名の出た音楽家をバンドメンバーに引き込む精力的な仕事ぶりなどから、精神力が強く、器の大きい女性であることがわかる。男にのめり込んだり、リストカットするような、依存体質の女性を客観視できないと、あのような作品はできないのかもしれない。
徹底的なエンターテイメント性に徹する椎名林檎の仕事のやり方は、宇多田のようにボロボロな精神状態ではつとまらず、曲と同レベルにビジュアルにもこだわる。1曲、1曲の丁寧なプロモーションは上質な曲を包む豪華なパッケージの様で、近年のバンドになってからの林檎はそのパッケージ化がさらに進む。
この時点で、宇多田と林檎の「どちらが勝ち」を決めるなら林檎の人生が勝ち組だが、アーティストとしてのおもしろみは、宇多田のほうにある。竹内まりやや、矢野顕子のような安定路線に落ち着く林檎よりも、どんな時にも、傷つき、孤独な感情を表す裸の宇多田ヒカル。一曲一曲は彼女の分身でその精神の不安定さは名曲の宝庫だ。これも、一個の天才の姿と言って他ならない。
今後、どんなに多くのヒット曲に恵まれ、知名度が上がり、金が稼げたとしても、宇多田ヒカルの幸福は青い鳥のようにつかまりにくい。彼女が宇多田ヒカルとして存在しているかぎり、孤独は隣り合わせであるからだ。
・ 「宇多田ヒカル 「私自身、予定されなかった妊娠で産まれた子」2008年10月31日 / 提供:J-CASTニュース
・椎名林檎発案「白と黒」Tシャツがユニクロに登場2008年09月29日:ナタリー
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(編集部:宇佐木野ミミ)
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