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”食が信じられない”悲しき消費者たちの声。-毒入りインゲン事件の現場から-

2008年10月16日 16:15

中国製冷凍ギョーザによる中毒事件の発生からまもなく10ヶ月が経とうとしている。北京五輪や世界的な経済問題の影に隠れて責任の所在がうやむやになっている中、また食の安全・安心が揺らぐ悲劇が起こってしまった。




厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課、八王子市保健所などの発表によると、今月11日、八王子市のスーパーで購入した中国産の冷凍いんげんを食べた消費者が異味、異臭、舌のしびれとむかつきを訴え、当該のいんげんを調べたところ、農薬ジクロルボスが基準値の3万4500倍にもおよぶ6900ppm検出されたとのことである。

当該の商品は株式会社ニチレイフーズが中国より輸入した冷凍食品「冷凍いんげん 250g」で、賞味期限が2010年1月7日となっており、イトーヨーカ堂及びその系列店舗においてのみ販売されていたとのことだ。現在、販売元のニチレイフーズで自主回収を進めている。

ジクロルボスといえば前回のギョーザ事件が記憶に新しいが、有機リン系化合物であり、国内では農薬(殺虫剤)、動物用医薬品などとして使用されている。

先月には、中国国内でメラミンが混入された粉ミルクが原因と思われる乳幼児の腎結石等の被害が生じていることが伝えられ、全世界に衝撃が走ったばかりだ。日本でもメラミンの混入した牛乳を輸入、使用していることが確認され、事業者による自主回収が行われている最中だ。そうした中での今回のインゲン騒動には誰しもが「また中国産か」という憤りを覚えるところだろう。

今回、毒入りインゲンが販売されてしまった八王子市のスーパー「イトーヨーカドー 南大沢店」で、買い物客に話を聞くと、「まさかこんな身近で起こるとは」「信じられない」といった不安感や「中国産は怖いから絶対に買わない」「チェック体制を早急に整えてほしい」などの不信感を訴える声が多く聞かれた。

イトーヨーカドー南大沢店(撮影:鈴木亮介)
イトーヨーカドー南大沢店(撮影:鈴木亮介)

八王子・南大沢は多摩ニュータウンの西部に位置する新興住宅地域だ。ニュータウンには商店街がほとんど存在せず、大型ショッピングセンターが駅前またはバイパス沿いに立地していることが多い。そのため、郊外の消費者にとって買い物の選択肢はかなり限定されている。

そうした中での、今回の事件だ。まだ現時点ではジクロルボス混入の経緯などはわかっておらず、消費者はもちろんのこと、販売する側も被害者と言えよう。ただ気になるのは、今回の事件の舞台となったイトーヨーカ堂(セブン&アイ)のホームページには自主回収を呼びかける「お知らせ」が小さく一行載るのみで、その他の大手スーパーに至っては「他人事」と言わんばかりにどこの社もホームページやチラシなど、一切この事件に触れていない。

いたずらに不安を煽らないように、ということでだんまりを決め込んでいるのかもしれないが、「他の商品は安全性が確保されている」「安心して購入してもらうために品質管理などの努力をしている」といった、前向きなメッセージが企業から発信されても良いのではないか。

また、行政の対応にも注目される。麻生首相は本日配信のメールマガジンの中でインゲン事件に触れ、被害者へ見舞いの言葉を述べるとともに、「食の安全に対する不安がさらに高まっている。何よりもまず、これ以上の被害の拡大を防ぎ、事実関係を究明しなくてはならない」と語っている。

また、麻生首相は先月29日の所信表明の中で、「消費者の立場に立ち、その利益を守る行政が必要」「消費者、生活者の味方をさせるためにつくる」と、消費者庁の創設に意欲を示した。ギョーザ事件も未だ解決の糸口が見出せない状態だが、具体策の提示とともに、毅然とした対応が求められる。

内憂外患の昨今、これまでの「常識」「当たり前」が次々と崩壊している。行政、メーカー、小売店、そして消費者であるわれわれが皆、眼前の「自明」を問い直さなければならない時代になったのだ。

厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課
八王子市保健所
ニチレイフーズ

(編集部 鈴木亮介)

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