当時82歳だったルネさんも同校で学ぶことにしたという。その後2人は同時に准学士号を取得して同校を卒業すると、一緒にテキサス大学サンアントニオ校へ進学した。

ルネさんが経済学を、メラニエさんはコミュニケーション学を専攻したため同じ講義を受けることはなかったという。それでもメラニエさんは「祖父が同じキャンパスにいるというのは本当に面白い経験だったけど、すぐに慣れました。カフェテリアで一緒にランチを食べたり、図書館で並んで勉強もしました。ウェブサイトの使い方を教えたりもして、よく祖父と一緒にキャンパスを行き来していました」と祖父と過ごした学生生活を振り返った。

メラニエさんにとってはおじいちゃんが同じキャンパスにいるだけだったが、他の学生や教授にとってルネさんは良い意味で目立つ存在だったという。

「祖父は教授と意見が違っていたとしても、いつも自分の意見を持っていました。過去について話している教授が、『ルネさん、あなたはその時代を生きてきた人なのだからその時のことを教えてください』と言ったこともあります。クラスメイトたちは祖父の姿を見てやる気を貰ったり、影響を受けていたと思います。」

順調に学生生活を送っていたルネさんだったが、耳の聞こえが悪くなったり、脳卒中を起こして倒れてしまったことで再び休学した。そこにパンデミックが重なってしまい、さらに復学が難しくなってしまったのだ。

メラニエさんが全ての単位を取得して卒業を間近に控えるなか、ルネさんは卒業に値する単位を取得できていなかった。しかしそれまでのルネさんの努力をこのまま見過ごすことができなかったメラニエさんと家族は、大学側に何らかの形で敬意を表してほしいと懇願した。

そして卒業式の1週間前、なんと大学側から学位を授与するとの通達があった。正式に単位を取得していない者に学位を認めるのは、大学にとっても簡単なことではなかったはずだ。しかしルネさんのこれまでの経験や学習姿勢が評価され、ついにルネさんは念願の経済学の学位取得を果たしたのだ。

現在は病気のためホスピスに入っているというルネさんは、メラニエさんに車イスを押してもらって卒業式のステージで卒業証書を受け取った。

メラニエさんは「まるで奇跡のようでした。祖父の体調が悪化している中で、この瞬間が実現するかどうか分からなかったんです。祖父の功績を認め、卒業を実現させてくれたテキサス大学には本当に感謝しています」「祖父は亡くなる前に、1950年代から目指してきた卒業式のステージを歩くことができたのです。一つの章の終わりを見るのは美しいものです。祖父を誇りに思います」とルネさんの努力を称えた。

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画像は『Melanie Salazar　2021年12月12日付Instagram「My grandpa and I just crossed the stage!!!」』『TODAY　2021年12月24日付「88-year-old graduates college alongside his 23-year-old granddaughter」（Courtesy Melanie Salazar）』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部　iruy）