最終的には逃げるようにその場を泳ぎ去った。その腹部はほとんど無くなってしまっており、背中の皮のみで繋がっているような痛々しい姿になっていた。生きて泳いでいるのも不思議な、まさにゾンビの状態のまま20分ほど泳ぎ続けていたが、最後には力尽きてしまったという。
今回のサメの共食いについて、オーストラリア海洋科学研究所のミーカンさん(Meekan)は「サメの共食いは凶暴なサメだけが行うものではなく、ある特定の種のサメが行う行動でもありません。多数の異なるサメが互いを敵対視するのです」と説明する。続けて「人間が飢えたサメを人々に近づかせないように対策しているために、サメ同士で攻撃し合う頻度が増えています」と明かした。
サメは一度人間に捕まると、助けを求める救難信号を出すという。ところが他の飢えたサメたちは手軽に食べられる食事がそこにあると考え、助けを求めていたサメを襲ってしまうのだ。
こうしたサメの共食いは今に始まったことではない。3億年前に生きていたというサメであるオルタカントゥスのフンの化石にはサメの赤ちゃんの歯が含まれていたことが分かっており、サメの共食いは大昔から続いている。
マリオさんは「サメの共食いを撮影して記録として残すことは、本当に難しいことです」と話しており、今回の出来事をカメラに収められたことに自身でも驚いているようだ。
画像は『New York Post 2021年11月24日付「‘Cannibal sharks’: ‘Half-eaten’ zombie shark still hunts for prey in video」(Caters)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)