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writer : ac

【海外発!Breaking News】両手と顔面の同時移植手術に成功した22歳男性「第二の人生、家族を持ち仕事もしたい」(米)<動画あり>

ドナーを待つ間に貴重な出会いがあったという。それは2016年6月、24歳の時に自殺を図って顔面が崩壊した米カリフォルニア州出身のキャメロン・アンダーウッドさん(Cameron Underwood)で、ロドリゲス医師のもとで2018年に顔面移植手術を受けていた。

ジョーさんは「キャメロンさんと直に会って話すことで“希望”を見出し、『自分もこの手術に懸けてみたい。どんなことがあっても切り抜けてみせる。人生を取り戻したい』という気持ちを一層強くした」と述べており、先駆者のキャメロンさんに背中を押されたことを明かした。

こうして昨年8月、幸運にもデラウェア州でドナーが見つかり、8月12日にジョーさんの手術が行われた。

手術は16人の外科チームと80人の手術室チームにより23時間をかけて行われれ、ジョーさんには両前腕の半分から下と額、眉毛、両耳、鼻、両瞼、唇、皮膚下の頭蓋骨、頬の骨 鼻骨、顎骨の一部などを含むドナーの顔が移植された。

ロドリゲス医師によると、手術は3D技術を駆使した画期的なもので、2018年のキャメロンさんの手術よりも数時間早く終了したそうだ。手術前後にジョーさんのケアにかかわったヘルスワーカーは140人にものぼり、ジョーさんは45日を同病院で過ごした後にリハビリ施設に移った。

手術後に懸命にリハビリをするジョーさん(画像は『NYU Langone Health 2021年2月4日付Facebook「Joe DiMeo’s Face and Double Hand Transplant」』のスクリーンショット)

手術から5か月半が経ったジョーさんは、自分で着替えや食事ができるほか、飼い犬にボールを投げたりゴルフのスイングやビリヤードなどの練習も始めた。また今のところ拒絶反応はなく、経過は順調という。

ジョーさんは「まずは手を優先して、時間があればリハビリに励んでいるよ。だから予定よりも随分回復が早いんだ」と嬉しそうに笑うと、手術の成功についてこのように話した。

「手術が終わってから、ドナーの家族には手紙を書いたよ。ただ大切な人を亡くしたばかりだから、今すぐどうこうしたいというわけではないんだ。ドナーの家族に感謝したくてね。彼らに第二の人生という贈り物をもらったんだから、途中であきらめることはできないと思っている。」

「私にはやる気と忍耐がある。2年以内には自立して、家族を持ち仕事もしたい。普通のシンプルな人生を送りたいよ。」

「でも実を言うと、まだ新しい顔の実感がわかないんだ。次の目標である車の運転が可能になって、バックミラーで自分の顔を見ることができるようになったら、気持ちも変わるんじゃないかな。」

手術後、インタビューに応じるジョーさん(画像は『NYU Langone Health 2021年2月4日付Facebook「Joe DiMeo’s Face and Double Hand Transplant」』のスクリーンショット)

なおロドリゲス医師はジョーさんを「手術の成功を100%信じ、希望を捨てずに闘ってきた」と称え、「同時移植というのは滅多にあるものではない。手術の成功の確率が非常に低かったにもかかわらず、患者が回復していく姿を見ることは医者冥利に尽きる。チームを誇りに思う」と述べた。

ちなみに世界ではこれまでに顔面移植手術が18例、両手の移植が35例実施されているが、顔面と両手の同時移植は2例のみでどちらも失敗に終わっている。2009年に仏パリで移植を受けた女性は、1か月後に合併症で死亡。2011年の英ボストンでの手術では、両手の移植が上手くいかず、数日後に切除に追い込まれた。

画像は『NYU Langone Health 2021年2月4日付Facebook「Joe DiMeo’s Face and Double Hand Transplant」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

「希望を捨てずに闘ってきた」というジョーさん(画像は『NYU Langone Health 2021年2月4日付Facebook「Joe DiMeo’s Face and Double Hand Transplant」』のスクリーンショット)

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