UNCGはロドニー氏がメールを送って12時間もたたないうちに、カムデンさんの卒業にゴーサインを出したのだった。
ロドニー氏はその後、自ら卒業式のガウンと角帽を被って病院に出向き、家族や親戚が見守るなか、ベッドに横たわるカムデンさんに語りかけ、卒業証書を授与した。
カムデンさんの妻クリスティーナさんは、その時のことをこのように振り返っている。
「ロドニー氏の訪問はサプライズでしたが、カムデンはあの時、卒業証書を授与されたことをわかっていたはずです。『自分はやり遂げたんだ』と、きっと思ったはずです。」
「カムデンは、ずっと学士号のことばかり気にしていました。なぜなら彼は、3人の子供たちに‟頑張ればどんなことでも成し遂げることができる”ということを示すために、必死に勉強していたからです。子供たちに『ダディみたいになりたいんだ』って言ってもらいたかったのだと思います。」
「カムデンは卒業証書を授与された数時間後に、家族みんなに見守られながら息を引き取りました。彼の死後、息子のアイザイアは『僕もダディみたいに大学に行きたいんだ』『ダディが誇りに思ってくれるような人になりたいんだ』って口にするようになりました。彼の生き様から、子供たちはしっかり何かを感じ取ったのです。」
なおロドニー氏は、思いやりのバトンが繋がってカムデンさんが学士号取得を果たしたことについて、次のように語った。
「カムデンさんが亡くなる前に、学士号を取得したことを知らせたかったのはもちろんですが、それ以上に彼の3人の子供たちに父親が成し遂げたことを知って欲しかったのです。人生には教科書では学べないことがたくさんあります。人の性格や、他の人に優しくすることをテストで問うことはできません。そばに困っている人がいたら、最初に手を差し伸べる人であって欲しいと思うのです。あなたの思いやりがその人にどんな影響を与えるかはわかりません。でも、その思いやりが人や周りを変えることがあるのです。学校の試験の結果だけが重要ではないのです。人を思いやる心を育て、温かいコミュニティや国を作ることこそ大切なのです。そうすることで素晴らしい社会になるのです。」
夢の達成に全力を尽くしてきた父の姿を見てきた3人の子供たちは、人を思いやる心と父の志をしっかり受け継いでいくに違いない。
画像は『In The Know Reports 2019年10月15日付Facebook「Man receives his college degree hours before dying of pancreatic cancer」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)