公開された防犯カメラに映る光景は、雪がしんしんと降っておりとても寒い日だとわかる。カメラの真正面にある建物の軒下に凍えるようにうずくまる犬は、寒さで動けないようだ。そしてその犬へ近づく一人の男性をカメラが捉えている。いったい、彼は犬をどうしようというのだろうか。

その男性は犬のそばでしゃがみ込むと食べ物を与え、自分が着ていたジャケットを脱ぎ迷うことなく犬の体にかけた。たったそれだけの行為ではあったが、1月31日にこの映像がFacebookに投稿されるとたちまち拡散し、29万回以上の再生回数に上った。そしてこの親切な行為をした男性の身元が判明したのである。

男性はトルコのギレスン市内の地方公務員Bülent Kalpakçıoğluさんで、『The Dodo』のインタビューに恐縮しながらも「野良犬にジャケットをかけてやらなかったら罪の意識を感じてしまうところでした。私たちが家で暖かく過ごしている間も、野良犬たちは寒い外で凍えているのです」と語っている。

この一件がギレスン市のKerim Aksu市長にも伝わり、Kalpakçıoğluさんは市から表彰を受けることになった。普段から動物保護に積極的に取り組んでいるAksu市長は「彼は私たち社会にいい教訓を与えてくれました。動物は私たちの友人でもあります。人や街を愛すだけでなく生きとし生けるもの全てを愛することが私たちには大切なのです」とKalpakçıoğluさんの行いを絶賛したという。

Kalpakçıoğluさんの取った行動は、防犯カメラに約1分間記録されている。そのたった1分の親切は多くの人の心を揺さぶったようで、ニュースを知った人たちは「いい人だね。犬にも新しい家が見つかるといいね」「優しさのお手本を見せてもらったよ」という称賛の声を寄せている。しかし「どうして犬をそのまま家に連れて行ってあげなかったのか」という疑問の声を挙げる人もおり、そんな人たちには「彼はこの日、自分にできるせいいっぱいのことをしたんだと思う。ほんのささやかな親切でも十分だという場合もあるわ」というコメントを返している人もいる。

出典：http://metro.co.uk
（TechinsightJapan編集部　エリス鈴子）