writer : tinsight-takazawa

いまだ油断できない“結核” 「世界人口のおよそ3分の1が感染」 感染ルートは空気感染のみ

9月8日に都内で開催された発表会にて、シャープが開発した独自の空気浄化技術であるイオン発生技術「プラズマクラスター」が結核の感染予防に効果があると世界で初めて判明した。

プラズマクラスター技術とは、プラスイオンとマイナスイオンを同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどに作用し、その働きを抑制する空気浄化技術。臨床試験でも小児アトピー型喘息患者の気道炎症レベル低減や、ヒトへのインフルエンザウイルス感染率低減の傾向が実証されている。

9月8日に都内で開催された発表会

今回、シャープがジョージア国立結核病院との共同研究をした結果、プラズマクラスター技術を利用した臨床研究専用イオン発生装置を使うと、医療従事者が結核に感染するリスクや患者が再び結核にかかる危険性を減らすことが明らかになった。発表会に出席した同病院の臨床研究部門ディレクター兼WHO感染管理テクニカルアドバイザーのザザ・アヴァリアニ氏はプラズマクラスター技術について「世界レベルで共有すべき技術」「非常に効果が高い」「個人的には将来的に医療現場だけでなく、幼稚園、ショッピングセンター、学校などに導入していけるのではないかと思う」と期待を寄せる。

結核について注意を促すザザ・アヴァリアニ氏

さらにアヴァリアニ氏は「結核は空気感染のみが感染ルート。これは基本認識として身につけていただきたい重要なことです」と理解を促した。部屋の換気や人の多い場所ではマスクを着用するなど、個人レベルでの予防も心がけたいところだ。

「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれる結核は、初期症状が通常の風邪とよく似ている。アヴァリアニ氏によると「“せきが2週間続く”“せきに血が混じる頻度が高い”という症状がみられるときは、すぐに病院へ行くべき」とのこと。

結核の現状についてアヴァリアニ氏は、「現在、世界人口のおよそ3分の1が感染しています」「そのうち5%から10%が発症します」と明かす。WHO(世界保健機関)の統計では、世界で年間約150万人が結核で死亡、2014年には日本でも約2万人が新たに発病しており、毎年2,000人ほどが亡くなっている。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)

9月8日に都内で開催された発表会にて

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