とんこつラーメンなのにスープが透き通っていること。『透豚骨(すけるとんこつ)ラーメン』という名称はきっと「スケルトン」にもかけてあるのだろう。一説では、元来とんこつラーメンは透明感のあるスープだったが、誤って長時間火にかけたことで白濁し、お馴染みの白濁スープが生まれたそうだ。そこでサンポー食品は設立70周年記念として、原点ともいえる透き通ったとんこつスープのラーメンを開発したという。完成までは「透明感が足りない」「とんこつの風味が足りない」など何度も修正が入りながら、とんこつエキスや香辛料などの原料をイチから見直し、味が強い原料に変更することで透明感のあるスープをとことん追究した。調味油には香りが強い特製のポークオイルを使用し、炊き出し感のある香りに仕上がった。
実際に食べてみると、中細ちぢれ麺が歯切れ良く、美しく透明なスープに映える。具の焼豚は想像以上に食べ応えがあり、メンマはシャキシャキとしている。肝心のスープは白濁のスープよりも若干スッキリした味わいに感じた。この透き通ったスープをキラキラ輝く金粉がさらに美しく彩り、箸で取った麺や箸そのものにも金粉がついて華やかに。まさにこれまでに見たことも食べたこともない特別なとんこつラーメンだった。
サンポー食品がとんこつ味のインスタントラーメンの味の基本を確立したのは1959年。今も人気のカップ麺「焼豚ラーメン」は1978年に誕生したというから、さすがは九州、とんこつラーメンに長く歴史ある食品メーカーなのだ。そんななか、原点に戻りつつも新しいとんこつラーメンを生み出したチャレンジ精神が見事だ。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)