writer : tinsight-takazawa

“2019年はGovTech元年” 神戸市が「GovTechサミット」開催 テクノロジーを活用して市民サービスをより良いものに

ためま株式会社は「ためまっぷ」というスマートフォンのGPS機能を活用した「今日、今からでも参加できるイベント情報を5秒で検索できる」サービスを提供している。誰もがイベントのチラシなどをWeb上で閲覧できるようにすることで、神戸市内の地域のイベントを盛り上げる役割を担った。実際に子育てイベント参加者が急増したそうだ。同社とともに「ためまっぷ」の開発に取り組んだ神戸市長田区係長・真柴由美氏は「まちづくりの主役は、行政ではなく市民であることを教わった。官民一体となって、同じ方向を向いて取り組めたことが成功に繋がったと思う」と振り返った。また神戸市内にある複数のバス会社の運行情報のオープン化に取り組んだ株式会社トラフィックブレイン代表取締役社長・太田恒平氏は、今回の経験を踏まえて「行政の決定権を持つ人に直接話を持っていける仕組みが当たり前になれば、より効率的に開発を進めていけると思う」と具体的な改善策を提案した。

「GovTechサミット」では「現場の本音を引き出します! 『Digital or Die!』時代のあり方」もテーマに

他にも「スタートアップコミュニティから見る自治体の意味」をテーマにしたパネルディスカッションでは、登壇者が口を揃えて「縦割り行政の在り方が、プロジェクトが効率良く展開しない原因だ」と鋭く指摘し、「行政には“横の繋がり”が必要」と話す場面があった。それに応えるかのように、イベントの最後に神戸市副市長・寺崎秀俊氏が、行政の縦割りの改善を目的とする組織“つなぐ課”の設立を明言すると、会場からは大きな拍手が巻き起った。「“つなぐ課”はありとあらゆるものをつなぐ。スタートアップだけではなく、いろいろな課題と向き合っていく」と意気込みを述べた。

「GovTechサミット」では自己紹介タイムも

イベント参加費は無料で、女性の来場者も多かったが、来場者同士の自己紹介タイムなど参加型のコンテンツも尾原氏が用意。行政やスタートアップなどに関わる来場者がその日のうちに繋がりを増やし、有益な情報交換を行えるよう工夫されていた。さらに音声認識によって登壇者の話した内容をリアルタイムで字幕化する「UDトーク」を導入、会場では字幕をプロジェクターで投影し、聴覚障害のある方でもイベントを楽しめた。

参加者で賑わう「GovTechサミット」

2019年をGovTech元年と位置づけ、大きな飛躍を目指している神戸市。2020年に向けて「若者に選ばれるまち+誰もが活躍するまち」をテーマに、若者を中心にスタートアップを考える方々を支援する施策に取り組んでいる。

(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)

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