エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】井上陽水、カバーアルバムを出したのはボブ・ディランの影響だった。

井上陽水がNHKの音楽番組『SONGS』で7月29日にリリースしたカバーアルバム『UNITED COVER 2』で収録した楽曲について語った。彼は2001年にもカバーアルバムを出しており、そのきっかけは敬愛するボブ・ディランの言葉だったという。

井上陽水は『UNITED COVER 2』で、松任谷由実の『リフレインが叫んでる』や吉田拓郎の『リンゴ』、ザ・フォーク・クルセダーズを結成する前に加藤和彦と北山修が発表した『あの素晴しい愛をもう一度』など興味深い楽曲の数々をカバーしている。

8月29日放送の『SONGS』(NHK総合)ではその井上陽水を特集。彼がカバーした楽曲について語り、歌を披露した。そのなかで、井上陽水は15年ほど前にボブ・ディランのインタビュー記事を読んだことがカバーを歌うきっかけだったと明かしている。

「今の時代、地球上の全人類に1人100枚ずつCDを配っても余る。もう新しい曲なんか作る必要はないのさ」といった主旨に当時、曲作りが大変だと思っていた井上陽水は「いいこというな~」と深く共感する。「これからは曲を作る必要はないんだ。カバーをやろう」と2001年にカバーアルバム『UNITED COVER』を出した。

『UNITED COVER』は80万枚の大ヒットとなったので、その判断は間違いではなかったのだろう。ただボブ・ディランは2001年に『ラヴ・アンド・セフト』、2006年に『モダン・タイムズ』とオリジナル・アルバムを出して立て続けにグラミー賞を受賞している。井上陽水は「やられたな~、上には上があるもんだ」と当時を振り返り苦笑していた。

それから十数年を経て、今年の7月29日に出した第2弾カバーアルバム『UNITED COVER 2』の収録曲について語るセルフライナーミュージッ­クビデオが公開されている。宇多田ヒカルの『SAKURAドロップス』は2014年12月9日にリリースされた、トリビュート・アルバム『宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-』で歌ったもので、MVでは「去年の夏ごろに話があった…そこからなんとなく。その時にはアルバムを作るなんて思ってなかった」と語っているが、久々にセフルカバーアルバムを出そうと頭をよぎったのではないだろうか。

『SONGS』では吉田拓郎の『リンゴ』をカバーした理由を「拓郎とは誕生日にケーキを持って行ってお祝いするほど仲が良いわけではないが、取っ組み合いをするわけでもない。“あの2人はどうなの?”という見方が一部にあるのは知っているので、少しは驚いてくれる人もいるのかな」と期待しつつ歌ったと証言している。また、岡本おさみさんの詞に強い印象を持ったこともカバーした大きな理由だという。

1971年に出された『あの素晴しい愛をもう一度』(作詞・作曲:北山修、加藤和彦)を井上陽水が聴いた当初は、「さらっと読むと“同じ花を美しいと言った”とかの情景が浮かぶだけで、ちょっと歌詞がシンプルすぎる」と思えた。ところが「グッと来るんですねー! シンプルに勝るものはない」と思えるようになったそうだ。「感じやすい年齢になったのかもしれない」と感慨深そうに語っていた。

最初のカバーアルバム『UNITED COVER』から14年。長い時を経てリリースした『UNITED COVER 2』では、感性の変化とともに表現力を増した井上陽水の歌が最早オリジナルのように聴こえる。ただ、彼はMVで「カバーですから、詞を書くとか必要ないわけで…そういう意味では、快適でしたね」とまとめており、かつてボブ・ディランの言葉から学んだ感覚は残っているらしい。

※画像はYouTubeのサムネイル。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)