エンタがビタミン

writer : ume

【エンタがビタミン♪】<鼓童インタビュー>鼓童×坂東玉三郎 作って壊す新しい日本伝統芸能・和太鼓が熱い!

佐渡を拠点に、国際的な活動を行う太鼓芸能集団“鼓童”。舞台を一度観たものは、彼らの織りなす音空間の虜になる。歌舞伎俳優・坂東玉三郎芸術監督のもと、和太鼓を中心に笛・踊り・唄・鳴り物などを使い日本の伝統芸能を現代に再創造、その新しい舞台表現が世界でも高い評価を得る。秋から始まる『鼓童ワン・アース・ツアー2015~混沌』の前に副代表・船橋裕一郎氏と若手奏者・漆久保晃佑氏の2人に“鼓童”の魅力を聞いた。

“鼓童”の舞台の中心でもある和太鼓は100から200年育った木と動物の皮を使い生きていたもの素材にして作られている。

■DNAに響き体に染み込む
和太鼓の魅力について教えて下さい。
船橋:生音で出せる音量としては世界でも一番くらいに大きく、生音で届く魅力は耳で聴く音以外に体で受ける音も凄く大きいです。DNAに響く、その音一つ聴いただけで体に染み込んでくるのが魅力ですね。

漆久保:打っている人を見ると格好良く、見た目としても面白く活気づけられます。全く同じバチで同じ太鼓で同じリズムを打っても人が変わると全然音が変わり、その人が出ます。自分の頭の中で唄っている太鼓がダイレクトに出るので自分を映し出すのも面白いです。

副代表の船橋氏は和太鼓以外にも鳴り物・唄・演出、「BURNING」「山笑ふ」の作曲もこなし幅広く活躍する。

■自分にも相手にも気持ちいい音を出す
―演奏・演出をするにあたり、特にこだわっている点は何でしょうか?
船橋:いい音を出しているかどうか、凄く大事にしています。自分が気持ちいい音を出すことも大事ですし、その会場で聴くお客さんが気持ちよく聴けるか1つ1つ考えながらやっていますね。

■シンプル作りでここまで吹ける
―篠笛の魅力をお聞かせ下さい。
漆久保:篠笛は竹を切り、そこに穴をあけるシンプルな作りなんです。そんな作りでも曲や歌が全部吹ける。フルートよりもパーツ数が少ないのにフルート同様の曲が吹けるところ、また機械で生産しない1本しかないというのも魅力です。

“鼓童”の魅力を熱く語る 漆久保晃佑

■曲のタイプで使い分ける
―一つの笛で音の出し方を変えて演奏しているのですか?
漆久保:バラードだったりポップだったり曲のタイプで使い分けています。色々な曲があり玉三郎さんが入られてから曲のバリエーションも広がりました。

■垣根を取り、新たな挑戦へ
―太鼓の演奏についてはいかがでしょうか?
船橋:30年かけて一つの“鼓童”の形を作ってきたのですが、この形に逆にとらわれていた部分もあり自分たちでは見出せなかった時、玉三郎さんとの出会いでその“垣根”を外し、そこから和太鼓の魅力を更に広げて頂き、今、新たな挑戦の時期に差し掛かっています。

■舞台への意識が集中
―2012年に坂東玉三郎氏を芸術監督として迎え、今までの“鼓童”との変化はありましたか?
船橋:舞台へ向かう意識がさらに集中していると思います。食べることや生活全てに関し“舞台に繋げなさい”という教えはグループ全体として浸透し大きく変わってきていますね。

「坂東玉三郎氏の演出に最初は戸惑った」船橋裕一郎

■戸惑い葛藤を経て意識の改革から自由になれた
―玉三郎さんの演出は大変なこともありますか?
船橋:僕らにとっては(笑)。でもそこが意識の改革で、一回やってみようかなというところが非常にスムーズにみんなの中で行くようになりました。最初は本当にビックリして戸惑い葛藤もありましたが今、自由になって一回やってみたらいいんじゃないか? お客さんが喜んでいただけるならそれは正解では?と思います。

「鼓童ワン・アース・ツアー」は2012年の“伝説”に始まり“神秘”“永遠”、そして11月から“混沌”へと繋がる。前ツアー“永遠”では50種類以上の楽器が舞台を彩る。

■こだわりの解放が自由な発想へ
―“混沌”ではドラムを取り入れた舞台になるとのことですが。
船橋:ドラムやティンパニーを入れてみて、真剣に向き合うことで太鼓ってこういう魅力があったねと気付いたり、それまでなかった面白いことが広がる。考えて実現できるきっかけになっています。こだわりを解くことで自由な発想ができています。

■“混沌”とした中から気持ちのいい音楽を感じる
―今までと違うものを受け入れることに対しての想いはどうでしょうか?
船橋:作品を作るスピード感が増してその要求、使う楽器もどんどん増えているのでそれをどう扱っていくのか戸惑いはあります。一音を聴いてから楽器が増え、リズムによりさらに広がってタイトル通り“混沌”としていますよ(笑)。ぐしゃぐしゃした“混沌”とした中から気持ちのいい音ができた時にこの作品が消化していくのかなと思います。

■大変だが幸せな時間
―作品ができあがるまでにかかる期間はどれくらいになりますか?
船橋:今は1年くらい。玉三郎さんがこんなイメージがあると考えはじめてからは2年。舞台をやりながら次の舞台を考えて、それは大変ですが幸せな時間でもあります。じっくり物を作り、作っては壊しツアー中もお客さんの反応を見ながら練りこんでいくので、作品としては面白いものができています。

船橋「会場で体感して楽しんで」漆久保「舞台を知らない方にも、観る機会をゲットして欲しい」

―では最後に“鼓童”のここを観て!聴いて!を一言頂けますか?
船橋:太鼓の魅力は目で見て肌で感じるものなので是非生でご覧いただけるといいですね、YouTubeなどでは伝わらないものなので。今回は、僕たち自身で思い描いている太鼓の概念を僕たちも一回取り払った舞台をお届けしますので、一度会場で体感して楽しんで頂きたいと思います。

漆久保:観たら「凄い好きになりました」というお客様が多くいらっしゃいます。鼓童の舞台を知らない方にも、観る機会をゲットして欲しいです。海外の人に日本の文化を教える時に“和太鼓”を挙げたり、日本の音楽で踊るバーがあったり、いつかは自国の音楽で楽しめる世の中がきたらいいなと思います。

『鼓童ワン・アース・ツアー2015~混沌』 12月19日(土)から23日(水・祝)
文京シビックホール 大ホール
http://www.kodo.or.jp

(TechinsightJapan編集部 うめ智子)

【エンタがビタミン♪】<鼓童インタビュー>鼓童×坂東玉三郎 作って壊す新しい日本伝統芸能・和太鼓が熱い!