EU発!Breaking News

writer : tinsight-yokote2

【EU発!Breaking News】食品の無駄と廃棄に徹底抗議の仏男性、今日もヨーロッパのどこかでゴミ箱あさり。

まだ食べられるのに食品を廃棄するという無駄を「食品ロス」と呼ぶが、環境保全の観点からもこの食品ロス問題は世界中でますます注目を集めるようになっている。フランスでは若い男性がこんな抗議活動に出て話題を呼んでいるようだ。

この男性は仏・パリを自転車で4月15日に出発し、最近ポーランドのワルシャワにやってきたというBaptiste Dubanchetさん(25)。4,800km以上もの距離を移動する中で彼は食料品を買うことはせず、この写真のようにゴミ箱をあさって食べられるものを見つけては口に運んでいる(画像はthelocal.deのスクリーンショット)。これは世界的に注目を浴びるようになった「食料ロス」問題への彼なりの抗議活動であった

Dubanchetさんは「ゴミ集積所やスーパーマーケット、レストラン、パン屋の裏に行けば、まだ食べられるのに捨てられている食品がごっそりとあります。子供たちが次々と餓死してしまう極めて貧しい国々があるというのに、私たちはなぜこんなにも食べものを無駄にするのでしょう」と憤りをあらわにし、各地の学校を訪問しては子供たちに食料ロス問題について講義を展開している。地球環境保全については学ぶ機会の多い子供たちゆえ、食品ロスが地球環境にダメージを与えていることを知る意義は大きい。食品を調理するには電気、ガス、水道などが使用されるが、廃棄された食品の処分にもやはりエネルギーが消費されているのだ。

コロンビア、東南アジア、タヒチなどを訪れて飢餓や物乞いの実態を目の当たりにしたDubanchetさんは、自分にも何かやれることがあるとしてこのたびのサイクリングツアーを思い立った。すでにルクセンブルク、ベルギー、オランダ、チェコ、ドイツでゴミ箱あさりを実行。ドイツのベルリンでは「店主には内緒だよ。夜9時半においで」と言って、ジャケットの下に隠して残り物のパンを持たせてくれた親切なパン屋の店員もいたというが、チェコでは完全にホームレス扱い。抗議活動の意図がまったく理解されず、Dubanchetさんは白い目を向けられてばかりだったそうだ。

ところで、バイキングやホテルの宴会では常に大量の食品が残ってしまうもの。食品ロスは日本人も決して無視できない問題である。無駄になって廃棄される食品は毎年500万トンを超す膨大な量であることを知って欲しいとして、農林水産省のHPでは『食べものの「ムダ」をなくそう』と特集が組まれている(http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe1_02.html)。飲食店には客の食べ残しを減らす努力が求められ、家庭では皮を厚くむきすぎる過剰除去をなくす努力が必要。そして食品メーカー、卸問屋、小売店には強い制度・意識改革が求められている。規格・ラベルの刷新で旧商品が店頭から撤去され、ラベルの破損や印刷のにじみがあっただけでも回収を余儀なくされるためだ。インスタントラーメンに関し、賞味期限の延長について熱い議論が交わされて数か月。日本の食品ロスに関し、今後発表されるデータに良い変化が現れることを強く期待したい。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)