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writer : maki

【エンタがビタミン♪】AKB48握手会のセキュリティーを東大生が指摘。「ハロプロ並に強化すべき」

AKB48の握手会で起きた傷害事件を受けて、テレビ番組『ニュースなぜ太郎』が特集を組んだ。AKB48のファンや他のアイドルグループとその所属事務所などにインタビューを行ったところ、“握手会”の現状が垣間見えた。

5月25日に起きたAKB48握手会傷害事件以降、AKB48劇場での公演が中止されるなど様々な影響が出ている。31日放送の『みんなの疑問 ニュースなぜ太郎』(テレビ朝日系)では、AKB48ファンやそれ以外のアイドルグループとその所属事務所などに今回の件や握手会の在り方について意見を求めた。深刻な問題だけに、普段はあまり聞かれないような情報も語られており興味深い。

秋葉原で遭遇したAKB48の男性ファン数人にマイクを向けたところ、今回の事件について「単純に殴ってやりたいですね」、「やっぱり腹が立ちますよ。そいつ1人のために握手会やイベントが全部なくなっちゃうと…。何のためにみんな頑張っているのかという話ですよ」という憤りの声が聞かれた。

そうしたファンたちにとって、握手会とはどういったものなのか。「お互いが元気をもらえる」、「見ているだけで、元気がもらえる」とアイドルと会うことで元気になるという感想が多い。

そんな中で「握手会だと多くても5秒くらいしか握手できない」と現状を語るファンもいた。握手券1枚につき交流できる時間がそれだけなので、「多い人だと20~30枚、100枚くらいCDを買う人もいます」とそのファンは教えてくれた。番組で調べて訪問した38歳の男性ファンは、これまでに総額で2000万円以上をAKB48に費やしたそうだ。

握手会の会場で長時間並んで数秒だけ握手するか、あるいは大量にCDを購入して比較的長時間握手するか。数千人が集まる会場にはそれぞれのファンがそれぞれの思いでやって来る。

ある女性ファンは「いろんな人が来るから、ファンの中で怖い人もいる。『お前がそのコを推したら、俺が殺す!』とか言う人もいました」と証言しており、また、若い男性ファンは「工事道具とか持っているのを目撃したことがある。目立つために派手なものを持ってメンバーに覚えてもらいたいのかも」と明かす。

今回の事件の容疑者はAKB48のファンではなく「誰でもいいから殺そうと思った」と話しているが、以前から握手会会場でそうした状況があったとすれば、一概にファンだから安心だとは言い切れない。

アイドルについて知識をぶつけ合い、その未来を論じるという“東大アイドル同好会”の8人にも意見を聞いた。

「握手会あってのAKB48。距離の近さがAKB48の魅力だと思う。握手会がなくなれば、基盤がない家はすぐに壊れちゃうので心配だ」と握手会の必要性を説く学生もいた。

また「あまりに無防備なAKB48の運営も多少は反省してもらわないと。ハロプロの握手会は、メンバーが5人いたら剥がし(スタッフ)が6人もついている」とAKB48のセキュリティーが弱いと指摘する者もいる。

番組が調べたところ、ハロプロのモーニング娘。’14の握手会ではメンバー1人に対してスタッフが1人ついており、ファンの後方に1人ずつ立って安全を確保していることが分かった。

一方で、岩手県で行われたAKB48の握手会では、メンバー5人が並ぶテーブルの両サイドにスタッフが1人ずつ立ち、テントの外で1人が両手を広げさせてチェックを行っていたという。

番組メインパーソナリティのTOKIO・城島茂は「AKB48の場合は信頼関係とか、どこかで心のつながりを大事にしてたと思う」とアイドルの視点で語ったが、石原良純は「1人のために握手会がなくなるのは、ファンが悔しいと言うのはよく分かる。モー娘。のスタイルは正しいと思う」と主張した。

では、その握手会をなくすという方法はどうなのか。

“東大アイドル同好会”8人のうち、3人は「握手会に反対」だと答えている。「ステージで輝いているのがアイドル。普通の女の子とそこが一番違う。あまり友達のように話す存在ではないと思う」、「AKB48は握手会で週末が埋まって、本来の仕事であるライブが平日にしかできないのは順番が違う」がその理由だ。

しかし、アイドルとその運営側にとってはやはり握手会は必要らしい。

2008年から活動するダンスボーカルグループ・Starmarie(スターマリー)の木下望と高森紫乃に「握手会がなくなったら?」と問うたところ、「絶対にいやです」、「魅力のひとつがとられちゃう感じ」と答えた。「結成して長いので、みんな家族みたいな絆があります」という。

それでも今回のAKB48傷害事件を受けて、「近い距離で握手しているので、目の前に急に刃物を持った人が現れたらよけきれない。やっぱり怖い」とも語っている。

彼女たちが所属するM-SMILEの男性マネージャー(20歳)は「アイドルとファンの交流に握手会は必要なツール」と認識しており、事務所の社長(34歳)は「ライブパフォーマンスと同じくらい重要なものとして、握手会だとかコミュニティータイムが日々行われている」と説明する。

社長は握手会のセキュリティーについて「荷物チェック、危険物の持ち込みなどをチェックしていく。それを行っていることを大々的にアピールすることで危険な人物がその現場を避けていくのならば、それも重要なセキュリティーだと思う」と見解を示した。

今回、番組で意見を聞いたのはほんの一部ではあるが、ファンの多くはアイドルとの交流の場として握手会を望んでいるものの、中には握手会がなくても良いとする意見もあることが分かった。

そして、アイドル側はファンにアピールする場として握手会が必要だととらえており、所属事務所も同じ考えだ。ライブと握手会はアイドル活動の両輪といえるだろう。

石原良純は「アイドルについてはそれぞれで思いがあるだろう」としながら、セキュリティーについて「飛行機は日本の空港だと15分程度で済むが、米国だと2時間近くかかる」と空港でのチェック体制の違いを例に出して、「握手会も継続が必要ならばそういう厳しいチェックになってくるのではないか」と語っている。

テレビ番組でも握手会について掘り下げた企画を組むようになり、AKB48だけでなくアイドルグループを中心とした握手会の主催者はセキュリティー強化などの対策に迫られそうだ。

※画像は『Facebook Starmarie』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)