エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】東阪名から通うファンが急増! 福岡ご当地アイドルLinQの戦略とは。

福岡のアイドルグループLinQ(リンク)の人気が急上昇している。地域に密着しながらもメジャーデビューシングル「チャイムが終われば」はオリコン3位を記録。タレントのベッキーもツイッターで「胸きゅんです」と紹介して話題となった。そんな彼女たちに会おうと、最近では東阪名エリアから足を運ぶファンも増えているのだ。いよいよブレイクの予感さえするLinQの魅力とは何なのか。

福岡を拠点とするアイドルグループといえば、全国的にはAKBグループのHKT48が有名だ。しかし福岡では、HR(エイチアール)やQunQun(キュンキュン)などのご当地アイドルグループも活躍している。そんな中で注目を浴びているのがLinQだ。

4月17日にリリースしたメジャーデビューシングル「チャイムが終われば」はオリコンウィークリーチャートで最高3位となり、ご当地アイドルグループとしては上位を記録した。LinQが4月にテレビ番組『ライブ B♪』に出演したことが縁で司会のベッキーも同曲を気に入り、『ベッキー♪♯(Becky_bekiko) ツイッター』で「LinQちゃんの『チャイムが終われば』という歌、好きなんです。胸きゅんです。“いこお~”」と推してくれたほどだ。

福岡のテレビ番組『今日感テレビ』(RKB毎日放送)では5月7日に、そのLinQを「史上最強のご当地アイドル」として取り上げた。その中で地元の関係者たちから、彼女たちの人気の秘密ともいえる戦略が語られたのである。

LinQは毎週末に福岡の天神ベストホールで公演を開く。博多山笠やどんたくなど地元の特色を歌い込んだ楽曲「フクオカ好いとぉ」から「チャイムが終われば」まで1時間程度で予定のステージを終えると、観客から「替~え玉! も~一杯!」とリクエストの掛け声が沸き起こる。ご当地カラーに溢れた公演だ。

だがそれで終わりではない。ステージから降りたメンバーは用意された長机に分かれて、次のイベントが始まるのだ。ファンは500円で“LinQコイン”を購入することで、お気に入りのメンバーの前に座って写真にサインをもらいながら2分間会話ができる。「楽しかったやろ? めっちゃ?」と博多弁で語りかけられると、男性ファンは「楽しかった! 踊れたもん!」と友達のように会話を楽しむのである。

ある男性ファンは「ゴールデンウィークはずっとおる?」とメンバーから尋ねられて、「1回、神奈川に帰るけど…」と答えるが、「帰ると~? また来る~?」と返されて「(5月)3日にまた来る」と嬉しそうに話していた。メンバーの中でもお姉さん的存在になる深瀬智聖(ふかせちせい)によると、2分間用の砂時計の砂が落ちるまで好きな会話が楽しめるという。「どこから来たの?」「趣味は何?」という内容が多いが、40代や50代のファンからは「今日のステージは少し元気がなかった」などのアドバイスももらうそうだ。

この“2分間の会話”が多くのファンから支持されている。40代の男性は「大阪から毎週通っている」という。他のアイドルグループでは「会話する時間が短く、イベントの頻度が少ない」ことから福岡までLinQに会いに来るのだ。また20代の男性ファンは「小さな祭りとかにも出て、一緒になって盛り上げているのでファンも増えるのではないか」とLinQの魅力を語った。

統括プロデューサーのTOMY氏によると、最近は東阪名から来るファンが増えたことで「地元の旅行会社でチケット付きの旅行プランを作ってもらった」という。また地元JAにも相談し、福岡産の農産物を持って帰ってもらう企画も付けたそうだ。福岡のJAでは東京で宣伝イベントを開催した際もLinQを起用しており、「福岡の農産物を全国に発信してくれるのが良い」とその存在価値を評価していた。

TOMY氏は今後のLinQの活動について「福岡を離れることはない」と話す。ネットが普及したことで東京へ行かずとも良い作品は作れるし、福岡にいた方が農産物などの“食”や“祭り”をアピールできるからだ。元LinQリーダーで現在はプロデューサー(仮)の立場にある上原あさみさんも、「LinQは福岡のPR隊。福岡と全国。人と人との架け橋(リンク)となる」ことを目指すという。

AKB48やももいろクローバーZ、モーニング娘。などアイドルグループが活躍する中で、ご当地アイドルも増えている。人気が出ても地域密着型を壊さずに活動する上で、LinQの取り組みは参考になるのではないか。

ただその柱の1つでもある“2分間の会話”については、AKB48やももクロも人気が出る前は時間を十分に取れていたが、「売れてくると続けられなくなりそう」といった声も聞かれる。LinQの本当の勝負はこれからだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)