イタすぎるセレブ達

writer : tinsight-yokote2

【イタすぎるセレブ達】不動産王ドナルド・トランプ、自らを「オランウータンの子」と言ったコメディアンを提訴。500万ドルを求める。

米国の不動産王で、総資産は20億ドル超とも言われるドナルド・トランプ氏(66)。最新鋭機787の度重なる不具合で下落している米航空機会社のボーイング株を購入したとして話題になっている彼が、このほどあるコメディアンを相手に500万ドルを求める訴えを起こした。

世界的に超有名な億万長者であるドナルド・トランプ氏に訴えられてしまったのは、コメディ俳優のビル・マー(57)。名門コーネル大学卒の彼には知的な雰囲気が漂い、俳優業ばかりか政治もお手の物。『Politically Incorrect』というABCの政治討論番組のホストを務めるほか、トーク番組も人気で社会問題や政治の腐敗にメスを入れるタイプのコメディアンである。

そんなマーは先月NBCのトーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジェイ・レノ』に出演したが、赤ら顔で知られるトランプ氏について、「彼の父親はオランウータンだろう。違うって証明できるなら僕は彼の慈善財団に莫大な寄付をしてもいいよ!」とまるで賭けのようなジョークを放った。

これはかつてトランプ氏がオバマ大統領の出生地を「ハワイではなくケニアだ」と疑い、それがハワイだと証明されると悔しそうに「では大学の成績証明書を示せ」と発言してひんしゅくを買ったことに対する皮肉なジョークであったが、両親を侮辱されたこともありひどく腹を立てたトランプ氏は4日、ロサンゼルス郡高等裁判所でマーに500万ドルを求める訴えを起こした。

ただし精神的な苦痛に対する慰謝料という名目ではない。提出された訴状によれば、トランプ氏は「あなたの賭けに乗ります」としたためた書状をマーに送り、出生証明書を添えて「私の両親はヒト。あなたは賭けに負けたのだから提案どおり私の慈善団体に高額を支払うように」と求めたものの、マーはまるで知らん顔だとして怒っているのだ。

コメディアンの発言に「訴えてやる!」と怒るセレブはたくさんいるが、結局は皆「訴えるのも面倒でバカバカしい」と言って振り上げた拳をおろす。コメディアンは皮肉なジョークを炸裂させるのが仕事であり、真に受けてそれに対抗し“ジョークを理解しない器の小さな人間”と言われるのもイヤなのだ。

億万長者で不動産王、ミス・ユニバース大会を運営し、一時は大統領の座をも狙った男が、コメディアンのジョークをビジネスライクに捉えて何億円もの額を請求する。「彼からの寄付を見込んでいた5つの慈善活動が、彼の不誠実さゆえに台無しになっている」とトランプ氏は本気で怒っている。

ここでどうしても触れなければならないのは、1年ほど前の騒動である。トランプ氏の息子たちは狩猟のためジンバブエ共和国に出かけて象やバッファロー、ヒョウなどを殺し、象のしっぽをナイフで切り落とすなど目をそむけたくなるような写真を自慢げに公開。その残酷さが大変な物議をかもしていたのだ。マーは動物愛護活動家であり、この時以来トランプ・ファミリーをひどく嫌っている。“オランウータンとヒトのハーフだろう”なる冗談くらいかわいいもの、甘んじて受け止めるべきだとの声もあがっている。

外見上のことや、罪のない家族を辱めたりするネタはやめた方が良いとコメディアンたちは度々世間の厳しい批判を受けているため、この裁判は彼らの悪ふざけに対する“見せしめ”にはなるのであろう。だが今回のトランプ氏に限っては「彼に動物のネタで訴える資格があるのか」、「コメディアンに5ミリオンを請求するってどういう器なんだ」などと人々は呆れ顔。またしても人望を下げてしまったようである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)