EU発!Breaking News

writer : shiina

【EU発!Breaking News】パリの女性のズボン着用を禁ずる法律、約200年ぶりに改正される。(仏)

フランスの首都パリでは約200年前に制定された『パリの女性は公共の場でのズボン着用を禁止する』という法律が、驚くべきことについ最近まで存在していた。現在では形骸化されていたこの法律が、このほどフランスが法的に掲げる男女平等権に抵触するという理由から廃止されることが決定した。

『Le Parisien』紙によると、この法律が定められたのは1800年11月7日のことである。それより少し前のフランス革命当時、貴族階級の人々がいわゆるキュロットと呼ばれる半ズボンをはいていたのに対し、労働者階級の人々は長ズボンの着用が一般的であった。

そうした状況の中でパリの女性は、革命の軸となった労働者階級の人々のように自分たちも長ズボンを着用し革命に参加する権利を要求していた。だがそうした動きとは反対に、女性に政治活動への参加や職業従事をさせないといった男性側からの見解によって、パリの女性はズボンの着用を禁止するという法律が制定された。同時に女性がズボンを着用する、つまり“女性が男性のような格好をしたいと思った場合”には、警察に許可を求めなければならないことも定められたのだ。

この法律はその後1892年と1902年に改正されているが、これは女性が自転車に乗る、あるいは乗馬をする時に限りズボンの着用を認めるという部分的なものであり、完全に自由化されたものではなかった。

とはいえ最近ではこの法律は形骸化されており、機能しているとは言えないものであった。しかしこれは形ばかりであるとはいえ法律として有効なものであること、そして現在のフランスの法律は男女同権を掲げており、それに矛盾するものであることから、女性権利大臣のナジャット・ヴァロー=ベルカセム氏は先月31日、長らく存在してきたこの法律を廃止することを発表した。これによってパリの女性がズボンを着用するのは犯罪でも何でもなく、“法的に”認められたこととなった。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)