writer : maki

【どっちが勝ち組でショー】つんく♂ VS 秋元康。どこまで続く?アイドルプロデュース対決。

いまや日本だけでなく、世界からも注目されるアイドルグループAKB48。その仕掛け人である秋元康がプロデュースしたおニャン子クラブに触発されて、後にモーニング娘。を育てたのがつんく♂なのだ。現時点ではCDの売上記録を更新するなどの活躍でAKB48が圧倒的な人気だが、そんな秋元康に対してつんく♂がテレビ番組で「次の発想にたどり着いた」と次世代アイドル育成での自信をのぞかせた。

おニャン子クラブがデビューしたのは1985年4月のことだった。それまでにないアイドルの誕生と一世を風靡した人気を見て「いつかはあんなグループを作りたい」と、野望に燃えた青年こそがつんく♂だったのである。やがて彼が手がけたモーニング娘。が1998年にメジャーデビューすると、7枚目のシングル“LOVEマシーン”の大ヒットで国民的アイドルとなった。ところが時を経て、2005年12月8日にはAKB48が劇場初公演を行い数年後に大ブレイクすると、モー娘。の“シングルCDオリコン1位記録”を塗り替えるなどの活躍を見せるのだ。

そんなAKB48の状況に対して、つんく♂が6月17日放送のテレビ『行列のできる法律相談所』で本音を明かした。彼は秋元康について「ビジネスとして上手いと思う。だから、その次の発想に僕もたどり着いた」と、AKBを超えるアイドルグループの誕生をにおわせたのである。

つんく♂がたどり着いたのが“アイドル育成型エンターテイメントカフェ”『AKIHABARA バックステージpass』だ。昨年12月23日にオープンしたカフェと劇場が一体となるものだが、モー娘。を育てたつんく♂ならではの工夫が見られる。AKB劇場よりもさらにアイドルを身近に感じられるのが最大の特徴だろう。店内では接客もすべてアイドルキャストが行い、希望するとプロデューサーとして社員登録され毎月発表されるアイドルのランキングを知ることができる。他にもプレスパスにより練習中のアイドルたちを間近に見学しながら飲食が可能で、『自分が育てるアイドル』を実感できる仕組みなのだ。

しかも彼女たちが店内で披露するパフォーマンスは、つんく♂が直々に指導。「なんか地味!」、「もっともっと激しく!!」、「どの席にお客さんがいても最低1回は目を合わせろ!」とモー娘。レベルの本気度で熱い指示が飛んでいた。それだけに応援するファンもノリノリになれるのだ。オープンから約半年を経て、毎日長蛇の列ができる状況こそファンが内容に魅力を感じている証だろう。つんく♂は「年商4億円」に達しそうと豪語するが、在籍するアイドルキャストは120人で時給は全員が1000円。人件費は一般的なカフェの3倍にも及ぶ。だが、つんく♂が最終的に目指すのはカフェの利益ではないようだ。

「紅白に出してやりたい」、「ここからスターを出したい」と彼はいう。この夏、8月1日には“バクステ外神田一丁目”としてインディーズデビューシングル『プロデュース』をリリースする予定だ。“バクステ外神田一丁目(そとかんだいっちょめ)”はカフェのアイドルキャストの総称なので、その人数は約120名となる。もし紅白歌合戦出場が実現すれば、AKBグループに迫る大人数が出演することになるだろう。ただし、つんく♂は「2~3年、足腰を鍛えて本当に強いものになってくれたら…」と彼女たちに期待しており、紅白狙いは少し先のようだ。

つんく♂といえばモー娘。の他にハロー!プロジェクトとしてBerryz工房、℃-ute、スマイレージといったアイドルグループをプロデュースしており、現在活動休止中のドリームモーニング娘。も再活動が待たれる。これらは秋元康によるAKB関連グループよりも歴史があり、パフォーマンスもそれぞれに独自性があるといえそうだ。それに加えて“バクステ外神田一丁目”が力を付けてくれば、AKBに代わってトップアイドルの座を手にする可能性も出てくるだろう。

これまでおニャン子クラブからモーニング娘。そしてAKB48とトップアイドルの座を交代してきた流れから、次はつんく♂によるアイドルが君臨する時期がくるとも思われる。しかし、秋元康もだまってそれを見ているわけではない。

ここに来て秋元康が大きく動いたのが、指原莉乃のHKT48への移籍だ。指原の過去の交際発覚がきっかけとはいえ、彼がその対応策をHKT48と結びつけたのは、以前からなんらかの形で若いHKTにテコ入れが必要と感じていたからだろう。まだシングルデビューもしていない彼女たちに、指原と共に成長してもらいSKE48やNMB48、そして本家AKB48とは違ったグループに鍛え上げようとしているのではないか。

つんく♂が“バクステ外神田一丁目”を新たな切り札とするように、秋元康は新生HKT48に何かを賭けているように感じられるのである。長年にわたり続いてきた秋元康 VS つんく♂のアイドルグループ対決だが、この様子ではまだまだ終わりそうにない。そして2人が牽引力となる限り、アイドル戦国時代もさらに活気がでそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)