writer : testjournalist

【ドラマの女王】やっぱり“ドS”に見えない櫻井翔。北川との立場逆転が見たい。『謎解きはディナーのあとで』。

昨年の秋クールに放送された『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)がスペシャルドラマで復活した。2011年の本屋大賞を受賞した東川篤哉の同名小説が原作。話題となったドラマだ。

世界的な企業グループ『宝生グループ』の一人娘である宝生麗子(北川景子)はお嬢様であることを隠しながら、警視庁国立署に刑事として勤務している。頼りない上司・風祭(椎名桔平)とともに捜査するも上手くいかないことばかり。そんな事件の内容を執事である影山(櫻井翔)に話すと、彼は麗子の話から事件を見事解決する、というもの。そんな二人が今回担当した事件は、有名画家の密室殺人事件。完璧な密室に麗子も風祭もお手上げ状態。しかも、今回ばかりはさすがの影山も苦戦する。

連ドラのときからアメコミ風のオープニングや麗子の「クビ!クビ!クビ!」のCG加工はそのままであった。しかしスペシャルドラマの2時間超はさすがに長く、時間を繋ぐことに必死だった感が否めない。途中3度ほどエンドロールを流し、終わりをにおわす演出があった。1回目こそ信憑性もあったが、2度目以降は無理矢理組み込んでいるようでさすがにくどい。

途中、影山は麗子の元を離れ年次報告のため香港へ向かう。その香港で麗子そっくりの令嬢と出会った出来事を麗子に報告するのだが、事件と密接に繋がるわけでもなく、あの時間は必要だったのか謎だ。さらに、ドラマの大半は麗子と影山の回想で構成され、説明的なところが多い。加えて、二人の話が交互に展開されるため、飛び飛びで落ち着かないのだ。まさに、“言いたいことから話して、時系列や要点が見えにくい麗子の話し方”そのもののような時間だった。今回のドラマのポイントが麗子の話の順序でもあるのだから仕方なかろうが、映像化されると改めて分かりやすい話し方とは何かを考えさせられる。

そして、櫻井・北川コンビのアンバランスさも健在。やはり櫻井の影山はドS執事から遠く感じる。どう見ても北川の方がドS顔だ。実際、櫻井扮する影山が麗子にどんな暴言を吐こうとも丸みを帯びてしまう。二人が並ぶと「ドS執事とお嬢様」というより、「ドSご主人様とペット」に見えてしまう。唯一の救いは、影山の暴言に困惑する麗子の表情だ。これは普段の北川のイメージにはない。新たな一面だ。

またスペシャルドラマなどで復活することがあるなら、回想または夢の中の設定でもいいので、立場が逆転した影山(櫻井)と麗子(北川)の姿を見てみたい。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)