writer : testjournalist

【ドラマの女王】ガッキーを超えた? 実写版『らんま1/2』の本当の主役は女らんま・夏菜か。

先週9日に人気漫画『らんま1/2』の実写ドラマが日本テレビ系で放送された。新垣結衣主演ということで放送前から話題になっていた。原作はラムちゃんでおなじみ『うる星やつら』や『犬夜叉』などの作者、高橋留美子の87年から96年まで連載されていた人気作品だ。

水をかけると女に、お湯をかけると男になってしまう特異体質である早乙女乱馬(男:賀来賢人、女:夏菜)と男勝りな格闘少女・天道あかね(新垣)が、乱馬の体質を戻すため秘湯を探すコメディだ。今回は実写化に伴うオリジナルストーリーとなっている。

オリジナルストーリーとはいえ、原作の良さを出しつつ2時間に収めるには多少無理はあるものの、ドラマとしてはちゃんとまとまっていたのではないかと思う。ドタバタし過ぎて粗いつくりのところもあったが、コメディとしてはそのくらいすっ飛んでいる方が楽しめる。キャラクター設定もだいぶ変更があったが、それぞれの一番の特徴は捉えていたように思える。あかねの父親に生瀬勝久、乱馬の父親に古田新太、あかねの2人の姉に長谷川京子、西山茉希など、今回のドラマのキャラクター設定に合ったキャスティングとなっていた。

ただ「新垣結衣主演」としていたわりに新垣の影が薄かったように感じた。放送前は新垣のショートヘア姿が話題になっていたが、その姿が思いのほか長澤まさみに似ていて、ガッキーだからこその価値を感じられなかった。だが、前クール『全開ガール』で感じたように、コメディのようにハッキリした性格、感情の起伏が激しい役の方が向いていることを再確認出来た。プライベートではおとなしいと言われている彼女からは想像も出来ないのだが、そんなことを思わせないあたりに、新垣の女優としての力を感じられた。

しかし、ドラマが進めば進むほど、新垣というより夏菜のためのドラマに見えてきたのだ。乱馬の出演シーンは賀来より夏菜の方が多く、新垣と同じくらい。クライマックスでは新垣を助ける夏菜がメインとなっており、まるで夏菜が主演のような演出。はじめは乱馬の姿に違和感のあった夏菜だが、中盤で新垣をおんぶして歩くシーンあたりから気になり始めた。いくら女の子同士でも自分より大きな子をおんぶするのは大変ではないのだろうかと思ってから、彼女の根性が見えたような気がして、乱馬としての姿も違うものに見えてきた。加えて夏菜メインの演出のおかげもあってか、クライマックスではすっかり彼女の一生懸命さに魅力を感じるまでになっていた。

「夏菜」と聞いてもピンとこないが、『ピカルの定理』(フジテレビ系)で芸人に交じって出演している女の子と言えば、分かる人も多いのではないだろうか。女優としてのイメージがないかもしれないが、映画『君に届け』では主人公の友人・矢野あやね役、映画『GANTZ』では岸本恵役など、いくつかの映画にメインキャストとして出演するなどしている。そんな彼女だが、まだまだ彼女の名前だけでは話題にはなりにくいのも事実だ。そのような目論見はなかったのかもしれないが、結果として今回は新垣がエサになってしまったようだ。

今回はドラマ内とは逆で新垣が夏菜を助けたような形だが、いずれは二人名前を並べて張り合う姿も見てみたい。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)