writer : testjournalist

【ドラマの女王】1話60分で納まらない。“キムタク神話”再来を見せつけた『南極大陸』。

キムタクこと木村拓哉の主演ドラマということもあり、放送開始前から期待度の高かったTBS開局60周年記念 日曜劇場『南極大陸』(TBS)。ここ最近は陰りがささやかれる“キムタク神話”。神話復活を期待させるにふさわしい大作になりそうだ。

北村奏一の『南極越冬隊 タロジロの真実』を原案としている。過去に同原作を元に制作された映画『南極物語』があるが、こちらのリメイクというわけではないようだ。しかし民放の連ドラにもかかわらず撮影に半年を費やすなど、大河ドラマ並みの力の入れようにこのドラマへの意気込みを感じる。出演者も木村拓哉の他に、堺雅人、柴田恭兵、寺島進、香川照之、綾瀬はるかと豪華すぎるキャスティングとなっており、ここまで来ると、成功以外は考えられない好条件ばかりが目を引く。

昭和30年代の戦後間もないころに日本は失いかけていた自信を取り戻そうとある計画をたてた。南極観測である。南極観測成功が日本の自立の証だと信じて、地質学の研究者・倉持岳志(木村拓哉)を中心に南極を目指すストーリーだ。

そんな超豪華ドラマの初回放送の感想は、すでに完成された物語だから失敗するわけないよなという印象。豪華キャストも南極観測の総責任者・白崎優役の柴田恭兵がいつまでたっても“あぶない刑事”に見えてしまい、多少の違和感を覚えるものの、全体の配役は上手くまとめられていて、なんの心配もなく見ていられる。ただ、連ドラにしてはかなりのボリュームのため、テレビで見るにはお腹いっぱいになってしまった。

先週の第2話の放送では、初回で感じた豪華キャストへの満腹感にも少し慣れたのか、だいぶ他にも目がいくようになった。というより、俳優陣の存在感を薄くしてしまうほどの演出の壮大さに圧倒されるばかりだった。船が浸水するシーンは、映画さながらの迫力に瞬きすることも忘れそうになるほどだ。役者の演技がどうこうと感じる暇もなく、次から次へと変わる目の前の展開にハラハラするばかりだったのだ。あの迫力の演出でこのドラマの行方は決まったように思う。もちろん役者の演技も演出に引けを取っていない。役者と演出の攻防がとてもいい相乗効果を生み出している。このままの調子でいけば、なにも問題はないだろう。

ただ、これだけ力の入った作品だからか、これまでのこのドラマの放送時間は初回2時間拡大スペシャル、10分拡大スペシャルと拡大放送が続いている。そして次回第3話も10分拡大しての放送だ。そんなに尺が足らないのならば、いっそ70分放送をデフォルトにしてしまえば良いように思う。本来ならば、他のドラマも60分で納めることが筋なのだろうが、ここまでくると、なんでも許されてしまうような気さえする。もし、そのようなことになればそれこそが「キムタク神話」再来の証といえよう。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)