writer : testjournalist

【ドラマの女王】結局何のドラマ? ちょい役・志田未来。ママタレ・江角マキコ。中途半端な『ブルドクター』。

最近学園ものやコメディが続いていた日テレの22時枠が久しぶりに医療ものに挑戦している。その名も『ブルドクター』。周囲との対立をものともせず自分の信念で突き進むブルドーザーのような医師ということらしい。その“ブルドクター”に4年ぶりにドラマ出演する江角マキコを迎えた。同じ枠、アラサーの女医ということで、藤原紀香の『ギネ 産婦人科の女たち』とどことなく雰囲気が被っているような気がしてならない。同じ結末を迎えなければいいのだが。

法医学者である大達珠実(江角)はアメリカ留学後、上都大学法医学教室の特任准教授に就任する。気になることがあれば無茶をしてでも突き止めようとする珠実に、司法解剖を依頼する刑事の釜津田知佳(石原さとみ)は振り回され、反発しながらも、そのご遺体の真実を一緒に見つけていくという一話完結のストーリー。このストーリーはもちろんのこと登場人物のキャラクター構成も驚くほどに“ありがちな医療・刑事モノ”だ。

そんな中、一番驚いたのは、江角演じる珠実を慕い、周りをうろちょろする学生・武田美亜役に志田未来を起用していることだ。医大生でもあり、教授(小日向文世)の娘でもあるが、その出番はとても多いとは言えない。普通なら売り出し中の若手を起用するような役である。いくらドラマ『正義の味方』以来、損な役回りを担わされたり、いじめられる様子が意外とサマになっている志田とはいえ、女優としての扱いまでそのようなものになってしまっていいのだろうか。今後、この美亜が物語を左右する重要な任務を控えているのだろうか。そうでなければ、よく志田サイドが出演をOKしたなと感心するばかりである。

そんな志田を抑えて主役を張っているのが、久しぶりのドラマ出演である江角。その相棒に最近、急激に色っぽくなった石原だ。主役級である石原を二番手にしてまで、江角を主演にしたのは「ブルドクター」という型破りな役柄に『ショムニ』時代の江角を重ねたからだろうか。だとしたら、残念ながらその勢いは今の彼女にはないようだ。最近は子どもも生まれ主婦業もこなし、化粧品のCMでは可愛らしさまでアピールするほど丸くなった印象の彼女。そんなママタレにシフトしているように見える彼女に無茶はさせられないのだろう。実際、ドラマ内でも母親として奮闘しているシーンがところどころ散りばめられている。それゆえに珠実の行動が中途半端に感じる。そして、それがこのドラマの問題点でもあるのだ。

医療ドラマにしては、医療シーンは少なく、刑事ドラマかと問われればそうは見えない。働く女性の育児奮闘記にしても、母親としての出番は少ない。そうなのだ、このドラマは一体何に重点を置いているのかが分からないのだ。いくら定番の作りとはいえ、軸がしっかりしていれば、それなりに面白いものになる設定である。まして出演者に申し分はない。それが、全て裏目に出ているように感じるのは、このドラマの軸が見えないからだろう。結局これは何ドラマなのか。そこがハッキリしていれば良かったのだ。

不況だと言われるこのドラマ業界で、一つの作品にこんなに勿体ない女優の使い方をした勇気は讃えるが、このままでは3人各々を主役にしたドラマを3本作った方が良かったように見えて仕方ない。ぜひとも、この出演者確保の成果をドラマの成果に繋げられるよう奮闘して欲しいものである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)