動物愛護に対する意識が世界の中でも高いといわれているヨーロッパの中でも、残念ながら決してそういう人、あるいは国ばかりではないというのは、このニュースでも明らかだろう。オーストリア南部マルクト・アルハウ近くの高速道路で、スロバキアからスペインまで101頭の犬を密輸しようとしたスロバキア人の男が逮捕された。

この密輸について警察は、目撃者の電話による通報から足がついたと話している。男は運転する車にライトバンを接続し、高速道路でそれを引きつつ車を走らせていたのだが、このライトバンに疑問を抱いていた目撃者がいたのだ。その後、男が休憩のために車を停めたパーキングエリアで、目撃者の疑問は確信へと変わった。目撃者から通報を受けた警察による尋問が男に対して行われ、ライトバンが検査されたところ、ケージに入った101頭の様々な種類の犬がろくに手入れもされずに詰め込まれていたのが発見された。

男はこの犬たちをスロバキアからスペインまで運ぼうとしていたが、本来なら犬の輸出に必要な書類を、連れていた犬のうち約半頭分しか記入しておらず、またその犬の中でも、いつ誕生したかすら不明なものも少なからずいた。このことからも、連れていた犬たちに対する管理がずさんであったことも想像に難くない。かわいそうなことに、長い道程の中で既に死んでしまった犬も何頭かいたという。

この発見を受け、予定されていた男のスペインまでの走行は当然禁止され、身柄はオーストリアからスロバキアの警察に引き渡された。スロバキアの警察はこの男、そして彼にこうした『仕事』を命じた彼の勤め先である会社共々、裁判所に訴える姿勢を構えている。
（TechinsightJapan編集部　椎名智深）