writer : tinsight-yokote2

【巨大地震・盛岡から】その5 いつまで続く?海外からも褒められた高いモラルと冷静さ。

今回の「東北太平洋沖大地震」について、記者は盛岡より記事を書いております。ここ数日ほど、海外メディアなどがこぞって被災地の人々の冷静さや辛抱強さ、モラルの高さなどを高く評価してくれているようですが…。

吹雪の中じっと下を向き、歯を食いしばって学校に通ったという人もいっぱいの岩手の人々。無口だけれど我慢強くとても正直、しかもお人好しで譲り合いの気持ちが強く、車の運転マナーは素晴らしいです。こんな折にも、カップ麺、パン、何一つ手に入らなくなったスーパーやコンビニであっても、店員に「もっと売れ、もっと仕入れを」と叱る様子や強奪行為などはまず目にしません。

この海外からも褒められているような冷静さとモラルある規律正しい行動は、ものごとがスムーズに行っているからではなく、争いを好まない県民性ゆえの温和さ、我慢強さに他ならないのです。

しかし、そうした我慢はいつまでも続くものでしょうか。ガソリンスタンドの手前に出来ている大行列に、信号によって脇の道から入りこもうとする車には、激しいクラクション音とともに、“最後尾に並べ” の怒号が。盛岡の人々の心が、徐々にパニックに向かっていることを実感します。

冷静さやモラルの高さ、助け合いの精神が美しいと褒められても、それだけでは乗り越えられないものを今多くの人が痛感しています。食料や燃料の供給対象地域からは、完全に漏れた感のある盛岡。一般企業もですが、困ったことに教育、町の病院、福祉施設なども機能しなくなりました。11日には「盛岡は大丈夫だから沿岸の人々を」と思っていた私たちですが、残念ながら今は自分たちのことを真剣に心配し始めています。
(TechinsightJapan編集部 古瀬悦子)