writer : techinsight

【親方日の丸な人々】お役所内の宗教団体。

この連載でも何度か取り上げた官公労の弊害については、かなり知られるところとなってきたが、実際に官公庁で働いている人間にとって労組は、信じてもいないのに入信させられた宗教団体のようなものである。今回は「宗教団体としての官公労」を取り上げる。

お役人の待遇は、多くが政治の場で決着する。よって官公労の最大の使命は労組の言い分を聞いて政治に働きかけることのできる議員を送り込むことである。

このこと自体すでに自明になっているので、時折、「公務員の政治活動」として摘発される職員がいても、逮捕された本人にとっては罪悪感などは一切ないのが普通である。

しかし、公務員も当然世代交代して、戦後労働運動の歴史など、ほとんど知らない若手から中堅が主流を占めてくると、組合活動自体について組合員が何もわからないまま、一方的に組合の仕事を押しつけられることになる。

たとえば、毎年2月11日になると「紀元節に反対する集会」への参加動員がかけられる。

組合指導部は、なぜ「建国記念の日」の祝日に反対するのか、どんな意義があるのかについて一切説明をしないものだから、若手公務員は「日本の誕生日を祝うのがどうしていけないワケ?」などと、ある意味当然のギモンを持ちながら、しぶしぶ参加することになる。

春闘やメーデーの意味も、若手組合員にはわからない。公務員にとって最大の関心事は毎年8月頃に出される人事院勧告なので、なぜ人事異動で慌ただしい春にあえて集会やデモ行進をするのか謎のままである。

もちろん、戦後労働運動の歴史を知っていれば、どれも了解できる話なのだが、それをきちんと伝えていないため、組合自体が「謎の宗教団体」のようになっているのである。

この「宗教団体」はどんな神サマを信じているのかといえば、「歴史」の神サマである。現在から過去の記録を振りかえる歴史ではなく、はるか未来に救済をもたらす法則の神サマである。

もちろん、日本には信教の自由と思想・信条(良心)の自由があるので、執行部や組合員がどう考えていようと自由だが、ひとつの教義を教えるには、それなりの努力が必要である。
それを怠っているから、謎の宗教団体のようになっているのである。

現在、この官公労と関連の深い政党が与党となっているが、現内閣の下で、人事院勧告を上回る給与引き下げが行われようとしている。

これに対して官公労は「反対」とも「賛成」とも言えずに、「ハンタイのサンセイ」などと某アニメキャラのようなことを言っているのは奇態であるが、官公労には官公労の理屈があるので、何ら不思議ではないらしく、そして人知を超えた不可思議なことを信じるのが宗教であるから、問題はないということなのだ。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)