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【名盤クロニクル】音楽を聴きたくないときの音楽 アルヴィン・ルシエ「クロッシングズ」

2010年7月29日 10:10

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:クラシック/現代音楽)

古典的な意味での音楽は、リズム・メロディ・ハーモニーの三要素から出来ていると言われる。
今日でもほとんどの音楽はこの3つあるいはどれか1つ以上の要素から出来ているが、さまざまな音楽を聴いていると、そうした音楽そのものが聴きたくなくなるときがある。
そんなコアな音楽マニアにぜひ聴いて欲しいのが、今回紹介するアルヴィン・ルシエの音楽である。ほとんど微細な振動と持続だけで構成された「音」である。

こうした音楽は、今日では「ドローン系」と呼ばれることが多い。単音の変化の無い長い音のことであるが、全く変化がないわけではない。音の要素としての、音量の変化、振動数、空白などが微細にからみあって長時間続く音楽を、ドローン系と呼ぶ。

ルシエの音楽は、正弦波発信音を流し続け、それに併せて楽器がその音をなぞるようにロングノートを重ねていく。

その様態を耳を澄ませて聴取するのも非常に味わい深いのだが、もうひとつの聴き方として究極の環境音楽として聴く方法である。

我々の日常生活にはさまざまな「音楽」が溢れている。テレビやラジオ、スーパーマーケットなどで、音楽を聴かない時間はほとんどないと言って良いくらいだ。

しかし、誰もいない部屋に一人でいれば、音楽は聴かなくても済み、代わりに冷蔵庫の振動音や外のざわめきなどが環境雑音として耳に入ってくる。完全な無音という状態はあり得ないのである。

それならば、そうした環境雑音を快適に聴くために、ルシエの音楽を低いボリュームで流してみると良い。ひと味違った「静寂」が楽しめるはずである。

そうした時間をしばらく味わった後、ふたたび「普通の」好きな音楽を聴いてみると良い。きっと極めて新鮮に聴こえるはずである。

そうしたメタな楽しみ方もできる、非常に個性的な音楽である。

(収録曲)
1. In Memoriam Jon Higgins
2. Septet for Three Winds, Four Strings and Pure Wave Oscillator
3. Crossings
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)


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