アジア発!Breaking News

writer : katakura

【アジア発!Breaking News】人前で授乳は女を捨てている?台北市が公共の場で授乳する権利を保障。(台湾)

台北市が4月1日より、台湾で初めての哺乳権保障都市となった。台湾母乳協会が先月28日に行った活動では、参加したママや赤ちゃんたちが、様々な哺乳類動物に扮し、哺乳権の獲得を祝った。この保障により、母親が、市の公園や道路、売り場、バス、モノレール及び駅などの公共の場で母乳を与える際には、誰も阻止したり、隔離したり、授乳に影響を与えるような行為をしてはならず、反した場合5000元~3万元(約1万5000円~8万6000円)の罰金が科せられることになる。

2005年10月、数名の母親が市内の展示施設、台北故事館で授乳をしたところ、館外へ追い出された。この事件を発端に考えられるようになった「公共の場で授乳する権利」。現段階では台北市だけの実施であるが、台湾全土に対しても、衛生署は既に「公共場所母乳哺育条例草案」を立法院へ提出しており、順調にいけば、本会期中に通過、実施となりそうだ。

外出の度に、授乳場所を探さなければならないため、外出すること自体が億劫になった、という経験がある人もいるのではないだろうか。粉ミルクなら、いつでもどこでも飲ませられるのに、母乳だとそうもいかない。レストランで食事をしている時も、街で買い物している時も、お腹がすいた赤ちゃんは待ってくれない。記者自身、“ちょっとそこらで授乳できたら“と思うことが多々ある。

母親たちの公共の場での授乳についての意見は、おおっぴらにやっても平気な人もいれば、ケープを使えば大丈夫という人、人前で授乳なんてあり得ない、という人など様々だ。

記者は“ケープを使えば大丈夫派”である。しかし、ケープで覆っていても、公共の場で授乳する際は少し緊張してしまう。「人の目」が気になる。というのも、外で授乳している母親を見かけたことがないのだ。誰かに迷惑をかけているわけではないし、悪いことをしているわけでもないのに、「人の目」が気になるのは、公共の場で授乳するということが一般的とされていないからではないか。人前で授乳する女は「女を捨てている」という見方があるからではないか。

今回、抗議活動をした台湾母乳協会も、展示施設への抗議や謝罪要求よりも社会の授乳への理解と尊重を求めて運動を重ねてきた。出生率世界最下位の台湾が、どのように社会的育児環境を整えていくのか。今後に注目したい。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)