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【お笑い峰打ちコラム】あべの強さ際立たせた未熟なR-1

 あべこうじ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)の優勝で幕を閉じたR-1ぐらんぷり2010。自ら証明したいと息巻いていた漫談の強さを、まざまざと見せつけた。

 R-1のRは落語の頭文字であることは周知の事実だが、実際には落語に限らず“ピン芸No.1”を決める大会である。審査基準は「とにかくおもしろい1人話芸」でありジャンルは問われないが、参加者のネタは大きく分けると漫談とコントの2種類だ。

 コントに関しては専門のテレビ番組や頻繁に行われるライブなどの影響で観る側の目が肥えてきている。R-1がそれに耐えうる出来だとは言い難い。これはソフトではなくハードの問題である。

 R-1がいかにピン芸とはいえ、コントは一人ではできない。むしろピン芸だからこそ、裏方の協力が必要不可欠である。さらにテレビ放送するとなると番組としての演出も重要だ。この点でR-1はクオリティが高いとは言えない。一発勝負の賞レースであるから仕方のないことだが、だったら余計なことはしないで欲しいというのは極論だろうか。

 今大会は特にカメラワークが気になった。妙なスイッチングを入れられるより、舞台全体を引きの画で見たい。ネタ中に限ってはカメラは固定でも構わないくらいだ。画が細かく切り替わるたび、大会が発する熱を断たれるような思いがした。主にエハラマサヒロなど動きのあるネタが割を食った印象。当然、あべの漫談にはまったくと言っていいほど影響はなかった。

 演出以上に違和感を覚えたのが審査。これはM-1にもいえることだが、審査員の好みがどうしても出てしまう以上、人選には慎重を期すべきだ。仮にも日本一という看板を掲げる以上、アハハオホホのバラエティ感覚で審査されては困る。

 個人的には我人祥太の低評価が非常に残念。確かに荒削りな部分はあったが、全体を通して振り返ってもそれほど出来は悪くなかったように思う。これもまあ、好みの問題と言われてしまえばそれまでだが。一方あべの漫談は非常にわかりやすく、誰にでも楽しめ、かつ質の高いものであった。このオールラウンドさが高得点につながったのであろう。

 今大会、あべの漫談は本当に強かった。が、願わくばもう少しすっきりした形で楽しみたかった。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)