writer : techinsight

逆転発想のプロジェクト「カイタッチ」。アナタのブログへ逢いに行きます!

企業にとってWEBサイトは重要な広告宣伝媒体のひとつだ。
生真面目なサイトを展開する企業がある一方で、自社の取扱商品を面白おかしくキャラクターやネタにすることでユーザーの関心を引いたり、自社商品を軸に様々な情報を提供するなど、純粋にユーザーが楽しむことが出来る企業サイトも多い。

そんな乱立する企業サイトの中で記者の目を引いたのは、昨年11月にリニューアルされた貝印株式会社のWEBサイト

貝印株式会社とは、皆さんも良く目にする「KAI」のブランドロゴでおなじみのカミソリや調理用品・衛生用品などを取り扱っているメーカーだ。調理用品も提供しているということを今回初めて知った記者。オンラインではどんな商品が人気だろうかと質問してみると、六種のアタッチメントがついた「マルチブレンダー」なのだとか。11月30日には、ユーザーの声を基に改良版ともいえるハンディプロセッサー「blendia(ブレンディア)」も発売されている。

さて、同サイトで記者が一番注目したのは創業百周年を機にスタートした「カイタッチプロジェクト」。
最初にこの「カイタッチ」という文字をみて首を傾げた記者。コンテンツを読み進めてこのプロジェクトの面白さに気がついた。「カイタッチ」とは、サイトで出される「お題」の答えをユーザーが自分のブログに書き込んでおくだけで、貝印のスタッフがそのブログを探してネットの海を泳ぎまわりコメントを残してくれるという、至ってシンプルな考えに基づいたプロジェクトで、「ハイタッチ」をもじったものだ。

ブログを通じたユーザーとのコミュニケーションを模索していたとき、パートナー企業によるアイディアが発端となり「どうユーザーを囲い込むか」ではなく「ユーザーのもとへこちらから出向く」という逆の視点で企画されたものだというが、WEBに集客することが重要視されている中で、こちらから出向いていこうという発想はなかなか面白い試みだ。

当初はたった3名のスタッフでスタートしたこの企画も、今では様々な部門に所属する21名のスタッフが担当し、カイタッチ済みのブログは既に700を超えるという。ユーザーからの反応も良いそうだが、難点は、コメントを残すためにブログを熟読する必要があるため、中々多くのブログにカイタッチすることが出来ないことだという。しかし、斜め読みで当たり障りの無いコメントを残されるよりも、じっくり読んで残してくれたコメントのほうが温もりも伝わるというもの。参加したものの未だにコメントをもらっていないというブロガーは、まだまだ首を長くして待っていて欲しい。

ちなみに、スタッフの皆さんがどのようなコメントを残されているのか記者もチェックをしてみたところ、礼に始まり礼に終わりつつもネタがあれば突っ込むという、非常に好感が持てるコメントばかり。これは企業イメージもアップするに違いない。同サイト内では、担当スタッフを動物に置き換えて紹介するという心憎い演出もされているので、自分のブログにコメントしてくれたスタッフがどんな動物でどんな人なのかをチェックするのも面白いのではないだろうか。

そんな面白い試みをスタートさせている同社だが、今回のリニューアルに伴い、検索機能の強化やコンテンツ・情報表示の充実など、ユーザビリティ・アクセシビリティといった部分も向上している。他にも、Club KAIにポイント制度を導入し、WEB上の企画に参加することでポイントを得られるようにもなった。現在、このポイントは景品交換に利用できるが、将来的にはオンラインストアでも利用できるように計画しているという。他にも、環境に関する新企画やコンテンツが準備中なのだというので、ますます目が離せなくなりそうだ。

いまや、生活になくてはならないネット環境。しかし、そのコミュニケーションは一方的だったり機械的だったりというものが多い。何事もムダを切り捨て効率化ばかりが目に付く現代だからこそ、非効率的であったとしても、こういう人の心の温もりを感じられるプロジェクトがあってもいいのではないだろうか?ブログを持っているというアナタ、お題に参加して一度「カイタッチ」の温もりに触れてみてはいかがだろう?
(TechinsightJapan編集部 北島要子)