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IDC Japan、国内クライアント仮想化市場規模予測を発表

新型インフルエンザ・パンデミックを奇貨として、自宅で業務が継続できるシンクライアント製品の発表が相次いだ2009年であるが、償却済み旧式PCの継続有効利用や、ワークライフバランス推進のための在宅勤務の部分的導入などメリットの多い技術である。
その技術を支えるクライアント仮想化市場について、IDC Japanが今後の成長規模予測を発表した。

クライアント仮想化ソリューションの中核をなすクライアント仮想化ソフトウェア市場においては、2009年上半期(1月~6月)は26万ライセンスが出荷され、2013年には124 万ライセンスまで増加すると予測される。

デスクトップ仮想化ソフトウェア市場には多くのベンダーが参入しており、2008年~2013年の年間平均成長率は61.8%と非常に高い成長率で推移すると予測している。さらにクライアント仮想化の2013年までの累積導入率は、法人向けクライアントPCの稼動台数に対して、36.1%まで拡大するとみている。

一方、シンクライアント専用端末の出荷台数は、金融危機および景気後退の影響を受け、2009年上半期(1月~6月)の実績値は約6万台で、前年比1.8%のマイナス成長となった。しかし2010年後半から回復に向かい、シンクライアント化端末と合わせた出荷台数は、2013年に34万台超まで拡大するとみている。また関連サービスを含めたシンクライアントソリューション市場規模は2013年には676億円規模に達すると予測している。

シンクライアントの普及を妨げるものがあるとすれば、それは意外なことに「端末の私物化が困難である」という人間心理によるところが大きい。会社支給の端末とはいえ、かゆいところに手が届くようにカスタマイズしたり、私的な好みのフリーソフトをインストールすることによって,初めて端末に愛着がわき、それが仕事の生産性につながっていくと言える。

今後、この種の製品の販路拡大を目指すならば、会社のITポリシーから逸脱しない範囲でユーザーの自由度を向上させる取り組みが必要になってくるだろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)