writer : techinsight

【ドラマの女王】どうせなら、もっと”タブー”に踏み込んで。”爪も自分で切らない”志田未来の『小公女セイラ』。

今回の【ドラマの女王】は、志田未来主演『小公女セイラ』(TBS系)。今回高視聴率をひた走る日曜『JIN-仁-』、コミカルな『おひとりさま』、渋い『深夜食堂』。とバラエティに富んだ内容のTBS系秋クールドラマ陣。
注目の土8は少女小説の金字塔みたいなバーネットの『小公女』を大胆にもドラマ化。どんな境遇にも耐えながら気品を失わない少女・セイラの役を志田未来が挑戦中。でもこの人、プライベートでは、自分で自分の爪も切らないんじゃなかったっけ?

他が大人向けなだけに、なぜかこの枠だけ浮いた感じになってしまっている『小公女セイラ』。まあ前クールは『こち亀』だったし、もともとここはドリフの「8時だよ!全員集合」の時間なワケだから、子供向けなモノを放送していて正解なんだろう。誰しも一度は目にしたことのある『小公女』。大富豪の娘から一夜にして屋根裏暮らしの使用人になってしまったセイラは、母が遺した言葉「女の子は誰でもプリンセス」を心の支えに気高く生きる。さみしいセイラのお友達のネズミの親子、うまくできたCGだ。

なんとこのドラマでは、同じ使用人の少年・三浦カイトというセイラのカレシが出てくる。そしてそれを演じているのが、映画ではスポ根モノばっかりの林遣都。今回はマラソンとか野球とか水泳とかしなくていいのね。すごいキラキラした目、志田よりカイトのほうが小公女に適役か?

話も中盤の第5話、修学旅行で学院に誰もいなくなったため、カイトの実家に一緒に帰省するセイラ。そこでいいムードに。「14才の母」だった志田未来。が、ここは清くおでこにチュー。バスが遅れて、修学旅行の一団より後に学園に戻ったカイトとセイラは学院長に見つかり、絶対絶命のピンチに陥る。

学院長の三村(樋口可南子)は、情けない少女期の自分(溝口まりも)と、気高かったセイラの母・薫子(黒川智花)との関係を思い出してしまい、なにかとセイラに冷たくあったってしまう。CMでは“犬の妻”を演じる樋口、トロくてホンワカした妹の教師・笑美子の斉藤由貴と相性バッチリ。そしてなぜかフランス語教師・亜蘭役で”演技がクドイ男爵”、田辺誠一のお姿が・・・・。

かわいらしいけれど、『小公女』のテーマである気品からは程遠い志田未来が演じるプリンセス物語。お金持ち学校を舞台にした貧乏イジメは、「メイちゃんの執事」や「花より団子」でさんざんやりつくされていて、若い視聴者も見飽きている。どうせプリンセスへのイジメが最大の見せ場なら学園モノでは無くて“ダイアナ妃”だとか、“日本の皇室”のお妃だとか現実離れしたプリンセスのタブーにリアルに踏み込んで欲しかった。
子供向け番組にそんな冒険はいらない気もするけど。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)