writer : techinsight

【3分でわかる】ONE PIECE 中編

 海賊王になるため、「偉大なる航路(グランドライン)」をめざす「モンキー・D・ルフィ」。剣士「ロロノア・ゾロ」、航海士「ナミ」、狙撃手「ウソップ」、コック「サンジ」とともに、「東の海(イーストブルー)」を飛び出した。

 リヴァース・マウンテンを超え、グランドラインに突入したルフィたちは船ごと鯨に飲まれてしまう。そこで謎の2人組「Mr.9」と「ミス・ウェンズデー」に出会い、歓迎の町「ウイスキーピーク」まで彼らを連れて行くことになるのだが……。

 コミックス12巻、連載100話目からスタートする“アラバスタ”編。いよいよグランドラインでの冒険が始まるわけだが、注目すべきはその世界観である。

 さらりと書いてしまったが、グランドラインへの入り口はリヴァース・マウンテン、つまり山である。なんでも、4つの海流が山に向かっていて、それぞれ運河を登って山の頂上でぶつかり、グランドラインへと流れ出ているとのこと。なんだかわかったようなわからないような説明ではあるが、冒険漫画には物理的裏づけなど不要である。ただわくわくできる設定と、それを必要最低限読者に納得させるものがあればそれでいいのだ。

 グランドラインは季節や天候がまったくでたらめで、一切の常識が通用しない。通常のコンパスはまったく役に立たず、「記録指針(ログポース)」が必要である。点在する島々が引き合う磁力を記憶させ、航海の指針とするためのものだ。島の磁力を記憶させる(ログがたまる)には数時間から数日かかり、その間は島への滞在を余儀なくされる。

 つまり、グランドラインにおいては1つの島に着いたらログをため、それを頼りに次の島へ、という手順を踏んで航海を続けることになる。一方、一度記憶した島の磁力を忘れない「永久指針(エターナルポース)」も存在する。これがあればどこからでも目的地へ向かうことができるようになっている。

 コンパスひとつ取っても特殊なギミックを必要とするグランドライン。浮かぶ島々には春夏秋冬が冠され、珍奇な動物たちがうごめく。さらには海賊王「ゴールド・ロジャー」の一団しか見たことがないという幻の島「ラフテル」の存在。子どもならずともわくわくしてしまうキーワードがてんこ盛りだ。

 こういった世界観を読者に刷り込みつつ、ストーリー上はアラバスタ王国の王女である「ネフェルタリ・ビビ」を国へ送り届けることを目的としているのがアラバスタ編。ラストシーンは号泣必至なので、読む時と場所を選ぶことをおすすめする。

 もう一点特筆すべきは、新しい仲間の登場。船医「トニートニー・チョッパー」、トナカイでありながら「ヒトヒトの身」を食べたことで半人半獣となった“バケモノ”である。が、非常にかわいらしい。麦わら一味のマスコット的存在であり、若年層読者、女性読者のハートをわしづかみにしている。

 その他、カルガモの「カルー」にラクダの「マツゲ」、カニの「ハサミ」など、作者である尾田栄一郎氏の画力が存分に活かされたポップな動物たちも登場。画的にもオリジナルの世界観を確立させ、“空島”編へ続く。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)