アフリカ発!Breaking News

writer : flynn

【アフリカ発!Breaking News】HIV陽性者の腎臓を移植するべきか?(南ア)

南アフリカでは、移植するための臓器が足りないということで、HIVで死亡した人の臓器が引っ張りだこになるかもしれない。

週末に行われた南アフリカ臓器移植協会では、現在移植に必要な腎臓が非常に不足していること、さらにHIV陽性者が腎不全にかかっても透析に不向きな場合があったり、患者本人から治療を断ってくる場合があるのが問題だと指摘する。「HIVの人々にも移植をする権利はある。HIV陽性だけど移植できるというドナーがいるのに、それを使わないのはおかしくないか?それがプロジェクトの発端でした。」とあるドクターは述べる。

HIV陽性者は、HIVサブタイプ(遺伝学的分類)による影響や拒否反応の可能性などの問題があるため、臓器提供者としてみなされない場合がある。もちろんHIVという病気による影響に関しても取り組んでいく必要がある。現在までにHIV患者への腎移植手術を4件行い、これまでのところ経過は順調であるとの事。

昨年から行われている最新の臨床プロトコルでは、腎不全末期のHIV陽性者が、亡くなったHIV陽性者から腎移植をした場合どのような結果になるかを検証している。

心臓移植を世界で初めて行ったことで有名なケープタウンのクリスチャン・バーナード記念病院の腎移植エキスパートは、「少なくとも1医療施設に1人は移植ドナーに関する知識を持った人を配置することを考えている。亡くなっていく患者というのは、命の源となるものを持っている。患者の家族にわかってもらいたいのは、死が終わりではないと言うこと。」と語っている。

ある調査では、ほとんどの医学生は臓器移植についてなにもわかっていないという結果があったそうだ。医療関係者の無知さも問題となってきており、医療教育や医療従事への自覚というものをさらに行っていかなければならないとあるドクターは述べている。

現在、臓器移植を待っている人は南アフリカでおよそ4000人、南アフリカでは平均400件の移植手術を行っている。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)