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【お笑い峰打ちコラム】“次にブレイクする”のは? 進むお笑いターンオーバー

 オリコンが実施した女子高生対象のアンケート「次にブレイクすると思うお笑い芸人は?」において、ジャルジャル(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が1位を獲得。お笑い新興勢力図が書き換えられる日は静かに近づいている。

 2009年のお笑い界の顔は、間違いなくはんにゃ、オードリーである。当初はこれにナイツの名も挙げられていたがバラエティ界への進出といった意味では水をあけられており、現在は二強の状態。彼らに次ぐ若手不在のまま年が明けるかと思いきや、意外な伏兵が現れた。

 ジャルジャルは後藤淳平(25歳)と福徳秀介(26歳)による若手コンビ。コントを得意としており、その芸風にはオンリーワンという言葉が当てはまる。以前からお笑いファンの中での評価は高かったが、ここにきて女子高生からの支持を集めてきているのが興味深い。

 注目すべきは代表作がないこと。はんにゃのヘタレコントやオードリーのずれ漫才のように、ジャルジャルには一言で説明が済むワードはいまだ見つかっていない。そんな彼らのことを知らない人に説明する場合、必須となるのがフジテレビ系で放送されている人気番組「爆笑レッドシアター」である。

 彼らのシュールかつナンセンスなコントは一見には優しくない。レッドカーペットでもおなじみのネタを縮めて披露していたが手ごたえはいまひとつであり、ややもすればお笑いブームに乗るどころか飲み込まれて藻屑となった可能性すらあった。そんな状況で彼らの非凡さにいち早く気づき、レギュラー番組を与えたフジテレビにはさすがと言わざるを得ない。

 ネット、リアルを問わず口コミがもっとも一般的かつ力を持った情報伝達の術である現代において、しかももっともそれに影響されやすいであろう女子高生達の支持をジャルジャルが勝ち得たのはレッシアの力あってこそ。ポップな場でくり広げられる彼らのコントは週を追うごとに評判となり、じわじわとそのおもしろさが伝播されていったのだ。

 出オチキャラや一発芸とは違い、ジャルジャルのネタは使い古されることがない。それでいて毎週放送されるレッシアのおかげで彼ららしさというものが世間に浸透してきている。そしてあのさわやかで好青年然としたルックス。もうジャルジャルはいつ大ブレイクしてもおかしくはない。

 ちなみに件のアンケートは2位のゆってぃ以外はネタ重視の芸人ばかり。オードリーらがこの1年で切り開いたネタ勝負の道に、後続の影が見え始めた。静かに、しかし確実にお笑い界のターンオーバーは進んでいる。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)