writer : techinsight

【どっちが勝ち組でショー】滝沢秀明VSユースケ・サンタマリア。笑顔封印! シリアスな演技対決

今クールのドラマ「オルトロスの犬」で、手で触れただけで他人の病気や怪我を治せる竜崎を演じる滝沢秀明と、「救命病棟24時」で救命医療の改善に奮闘する医局長・澤井を演じるユースケ・サンタマリア。この2人に今回 共通するのは、「笑わないクールな演技」。今回の【どっちが勝ち組でショー】ではこの2人の対決だ。

まずはタッキー。時代劇「義経」を除けば2003年以来の連ドラ出演だ。27歳の男性・滝沢秀明の等身大の爽やかな笑顔を役の上でも期待していた人もいるだろうが、今回は神がかった能力を持った役であり、第一話ではなんと死刑囚だった。死刑囚のときはもちろんのこと、その後、普通ならば大喜びしそうな無罪放免になったときも、長谷部渚(水川あさみ)を抱き寄せるときも、笑みは見せない。いつも眉をひそめて、何か決意しているかのような表情である。タッキーの周りの人間達がその能力を求めて見境なくなるため、この世に辟易しているような、あるいは何か悟りを開いたような、そんな雰囲気を漂わせている。

一方、ユースケ・サンタマリア。ユースケはBINGO BONGOというバンドでデビューしたが、メキシカンハットをかぶったユースケがボーカルとMCの、ラテン系のノリのいいバンドであった。バラエティでは「俺様」的なキャラで、ハイテンション、KYぶりを醸し出すこともあるが、俳優としての活躍は周知の通り。「踊る大捜査線」では主要人物のひとり・真下正義役に抜擢したもののうまく行かなければ「殉職させればいい」とスタッフは考えていたという逸話があるが、結局、スピンオフ映画「交渉人 真下正義」にまで発展した。今回は、救命医療の現状を危惧し、改善策を真剣に考えながらもその考え方の違いから、進藤医師(江口洋介)と対立する澤井医局長を、常に冷静かつ少々枯れた雰囲気で実に好演している。熱い気持ちが前面に出てくる進藤医師とは対照的だ。

今回の甲乙つけがたい「クールな演技対決」の勝敗は、久しぶりの連ドラ出演にも関わらず、アイドルでありながら笑顔を封印し、目で訴えかけるような演技で親近感を得がたい役を演じるタッキーに軍配をあげたい。さすがタッキー、クールであってもカッコよさには変わりなし。碧井役の錦戸亮がインフルエンザにかかったため、撮影が間に合わず、9月4日の放送は緊急特番として、主役3人が生出演し、これまでの総集編が放送された。生出演部分でタッキーは爽やかな笑顔を振りまいていたが、久しぶりに彼の笑顔を見たような気がした。

しかしながら、ユースケ・サンタマリアのバンドやバラエティとの落差が激しいクールな落ち着いた演技が、意外にも説得力があるのはさすがといったところか。

今クールではないので、ここでは対決しなかったが、柳葉敏郎も笑顔を見せなくなったひとりではないだろうか。かつてトレンディドラマに出ていた頃は、いかにも「人の良い好青年」という屈託のない笑顔を絶やさない役が多かったが、その後は「踊る大捜査線」の室井管理官といい、「コード・ブルー」の黒田医師といい、いつも真剣な表情で、厳しい人という印象の役が増えた。時任三郎もそのような感じがするのだが、ある程度ベテランになって「指導者」的な役が増えてくると、男優はにこにこと笑っていられなくなるのだろうか。ユースケも今後、このような役が増えるのかもしれない。

さて、最終回までにこのふたりに、笑顔が見られるのだろうか。クールなふたりも新鮮で良いが、にっこりとした満面の笑みもこのドラマで一度は見てみたいものだ。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)