writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】ゼロから笑いを生むバカリズム

 16日、「はねるのトびら」にバカリズム(マセキ芸能社)が初出演。はねトびメンバーの中に大嫌いな芸人がいると公言した。その芸人の名は――。

 「北陽」伊藤さおり(プロダクション人力舎)。意外なチョイスである。芸人が嫌いな芸人というと、キャラが立ちすぎている、おもしろいことを鼻にかけているなどの人物像が思い浮かぶが、あの毒にも薬にもならない、もはや芸人だかなんだかわからない伊藤を、バカリズムが嫌うのはなにゆえか。

 理由はただひとつ。「おもしろくない」からである。

 バカリズムいわく、芸人の世界は実力がすべてである。売れている芸人はおもしろいし、おもしろいが売れていない芸人はいつか世に出る日が来る。そのお笑い界の法則を唯一破っているのが伊藤だというのだ。要するに、おもしろくない伊藤がゴールデン番組のレギュラーとしていけしゃあしゃあとテレビに出ているのが許せないというわけだ。

 バカリズムのあまりの言い分に伊藤も反論に出る。ふだん穏やかなイメージの2人が声を荒げ、ついには取っ組み合うという事態に発展した。芸人同士のけんかはバラエティでは日常茶飯事であるが、なにせ当事者がバカリズムと伊藤である。単純におもしろかった以上に、貴重ないい画を見せてもらった感謝の念すら覚えた。

 はねトびではお笑いセンスゼロの“ゼロ師匠”として活躍する伊藤。恐ろしいまでのスベリっぷりは周囲の芸人までをも巻き込み、からめば大けが必至の芸人キラーである。バカリズムはそんな伊藤とからむことでけがをするどころか、この日一番の笑いをもぎ取ったのだ。

 ゼロにはなにをかけてもゼロにしかならない。しかしゼロから笑いを作り出す力を、バカリズムは確かに持っていた。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)