writer : techinsight

【金融ブラック・コラム】子供は本当に国の宝?「子供手当ては必要か?」。

先の衆議院選挙で圧勝した民主党が、中学校修了までの子どもに、一人当たり月額2万6000円の「子ども手当」の支給を実現する「子ども手当法案」を参議院に提出した。何かとお金がかかる子育て中の家庭には、大きな臨時収入ではあるが、配偶者控除の廃止や、支払い(期間限定、もらえるのは中学生まで。)などを考えると、かならずしも最良策とは言えない。さらに「子供手当て」に疑問を感じる人たちの声と“中立の立場”での解説をどうぞ。

その1:所得1000万の家庭にも支給
定額給付金の時にも問題になった年収や保有財産“関係ナシ”の支給。年収1000万以上、持ち家で、私立の小学校に通わせ、祖父母からたっぷり援助も期待できる家庭にも年間子供一人あたり同一の30万円近くが支給される。それってアリなの?(主婦Aさん:36歳 世帯年収500万円 子供2人)

これに対しての答えを、ファイナンシャルプランナー『スキラージャパン』の伊藤亮太氏にあくまで“中立的立場”で【ホワイト回答】してもらった。

【ホワイト回答】
年収に関係なく支給することが果たしてよいかどうかは議論の余地があるといえます。ただし、子供手当には少子化対策という側面以外にも景気の活性化を刺激する側面もあります。景気活性化が促進される効果が見込めるのであれば、日本経済全体としてプラスに貢献する可能性もあるため、必ずしも年収で区切りをつけなくともよいのではないでしょうか。

その2:お金が無くて子供をあきらめた夫婦に増税。
夫婦で営む自営業が不況のあおりを受けて倒産。夫は派遣、妻はパートに出ることに。夫婦の収入は合わせて400万円程度。過去に商売でつくった借金を返し生活が苦しい為、子供はあきらめた。しかし配偶者控除の廃止で結果的に増税。どうして“よその家庭の子供”の為に税金払わなければいけないの?(主婦Bさん:40歳 世帯年収400万円 子供ナシ)

【ホワイト回答】
民主党は、子育て中の家庭に対して支援もしくは将来を見据えた少子化対策のためにも子供手当の支給を行う方針であるといえます。少子化対策として有効に発揮できれば、子供の数が増え、人口減少に歯止めがかかることになります。将来的には現在独身の人や子育てが終わった方の負担の軽減(税金の軽減など)にもつながるかもしれません。日本全体の将来を見据えた政策であるがために、子供手当の意義を民主党がしっかり説明すれば理解していただける方も多いのではないでしょうか。

その3:子供産んだもの勝ち、離婚家庭の手当て2度もらい。
離婚した妹は生活が苦しく、年金生活を送る母親がなにかと援助している。そんな妹親子に子供手当てが出るのはいい事だが、妹は母子家庭だから市から他の手当ても貰っている。妹の別れた夫は養育費を払わないくせに浮気相手と新しい家庭を持っているのに、この家の長男である俺はリストラ寸前で給料も安く、彼女と結婚できない。(会社員Cさん:34歳)

【ホワイト回答】
確かに、こういうパターンには問題があります。心情的には許せない気持にもなります。こうした方のためにも、少子化対策という面では、子供手当の創設だけでなく、世帯主の雇用・収入の安定にもつながる政策や母子家庭、父子家庭の支援、保育所の拡充などの政策も積極的に取られるべきではないでしょうか。そうすることで、少しでも住みやすい、家庭と仕事が両立しやすい環境を整えてあげるべきでしょう。

この【ホワイト回答】の筆者『スキラージャパン』の伊藤 亮太氏(ファイナンシャルプランナー)は、あくまで中立的な立場。今から約1300年も前にかの有名な歌人、山上憶良も歌に詠んでいる『子は宝である』という見方は、現在の日本においてもなんら変わりなく、たとえ子供がいない人でも、将来の日本の行方を考えると「ある程度の痛みを分かち合うこと」の必要性があると説いている。

「単なる『お金のバラマキ』ではなく、子供を養育する世帯主の雇用の安定や、医療、保育においての協力なども、少子化対策案も視野に入れ、家庭と仕事の両立ができる希望の持てる社会をつくりあげることが必要なのではないかと思います。」
さらに付け加える彼は、現在まだ独身。ポスト・バブル後の“氷河期”よりもさらに若い世代に属する。

未婚だから、子供はいないから、と言って少子化や「子ども手当法案」と無関係ではいられない時代はすぐそこまで来ている。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)