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【アリ?ナシ?】本格的な就職氷河期へ?来期の採用予定4割超が「減少」

学生にとっては厳しい状況がしばらく続きそうだ。来春卒業予定者の採用見込みを減少させる企業が4割以上にのぼることがわかった。

これは、日経就職ナビを運営する株式会社ディスコがきのう・17日発表したもの。先月下旬、全国の主要企業7879社を対象に、2010年3月卒業予定者および2011年3月卒業予定者の採用活動に関する調査を行い、1240社から回答を得た。

その結果、来春=2010年3月卒業予定者の採用見込みを今春より減少すると回答した企業が、前年比17.1ポイント増の41.0%にのぼることが明らかになった。また、選考期間が前年度よりも長い傾向になることもわかった。

そして、来年度=2011年3月卒予定者の採用数については、「あまり変わらない」が78.0%である一方、「減る」が14.1%にのぼり、「増える」7.9%におよそ2倍の差をつけた。企業規模別に見ると、「減る」は従業員数299人以下の企業の回答割合が最も高く、来年度の採用活動に対し、中小企業は厳しい見方をしていると言えそうだ。

また、同じく株式会社ディスコが2010年3月卒業予定の大学生モニターを対象に行った調査では、今月1日現在の内々定率が前年比12.9ポイント減の62.8%であった。これは、就職氷河期が終わり採用数が増え始めた2004年6月時点での調査と同じ数値となっている。内々定社数の内訳を見ると、3社以上から内定を得た学生が、前年の32.9%から19.2%に大きく減っている。

この現状を学生はどのように捉えているのか。同じ調査の中で、内々定を得る見通しについて学生に尋ねたところ、「選考中の企業はなくまったく見通しが立っていない」という回答が28.0%、「就職以外の道(進学、留年など)を考えている」が17.4%で、両方をあわせると半数近い学生が就職活動に対して苦戦している様子が伺える。

また、複数企業から内々定を得て、就職決定企業に決めた理由を複数回答形式で尋ねたところ、「仕事内容が魅力的」が34.4%と最も高く、以下「将来性がある」「世の中に影響力が大きい」と続いた。また、「大企業である」「有名企業である」といった項目が前年に比べて増加している。

ところで、こうした現状で採用側は学生をどのように見ているのか。全国の主要企業を対象にした調査の中で、今年の就活生にいわゆる「ゆとり教育」の影響を感じるか」どうかを聞いたところ、「感じる」との回答がおよそ4割を占めた。また、学生に不足していると感じるものを上位3つまで選択してもらったところ、「熱意」が最も高く4割を超えた。このほか、「コミュニケーション能力」や「バイタリティー」も上位に挙がっている。

冷え込む就活戦線。こんな時代だからこそ、意欲まで冷え込ませることなく、根気よく熱意をアピールし続けることが大切だと言えそうだ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)